稀勢の里、秋に進退懸ける 貴抜いて8場所連続休場 結果次第で引退も腹くくった

厳しい表情で朝稽古する稀勢の里
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 「大相撲名古屋場所」(8日初日、ドルフィンズアリーナ)

 左大胸筋などの負傷から復活を期す横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が5日、名古屋場所休場を表明した。年6場所制が定着した1958年以降の横綱では貴乃花を超え、ワースト記録を更新する8場所連続休場となる。この日、名古屋市内の宿舎で朝稽古を行った後、秋場所(9月9日初日、両国国技館)で進退を懸ける決意を表明した。  

 負の歴史を背負い、背水覚悟で休場を表明した。朝稽古を終えた稀勢の里は「必死に稽古をしてきたけど調整がうまく進まず、まだ相撲が戻らない。来場所すべてを懸けて頑張らせていただきたい」と悲壮な決意を語った。

 秋場所に進退を懸けるかと問われると「そういう気持ちで今場所もやってきましたから」とキッパリ。覚悟はあるかと聞かれ「はい」と即答。来場所への出場、そして結果次第で引退と腹をくくった。

 師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)によれば、先場所の全休原因となった左大胸筋負傷が完治せず調整が遅れたことが休場理由。前日4日、師弟で話し合い稀勢の里から「今場所は休場させていただきたい」と申し入れがあり、親方も了承した。

 貴乃花を抜き、1928年の3代目西ノ海以来90年ぶりとなる横綱の8場所連続休場。屈辱の中、それでも表情は落胆より希望に満ちていた。横綱昇進後、初日から休場は4度目で過去3度は親方の対応だけだったが、今回、初めて自ら報道陣に応じた。

 「もう一つ二つ(万全と言えるには)惜しいというのがあった。自分の気持ちに納得がいかなかった」と苦渋の決断を明かした。

 復活へあと一歩の確かな手応えがある。前日まで3日連続で出稽古。転機は2日、九重部屋に出稽古した際、横綱白鵬(宮城野)と実現した三番稽古。2勝8敗と負け越したものの「目覚めた」と、心身とも勝負魂が呼び覚まされた。

 「だいぶ体も良くなった。感覚的には名古屋でつかんだ。もう少し」。名古屋場所中と夏巡業の2カ月は猛稽古で鍛え上げる。「もっともっと自分に厳しくしていく」。運命の秋へ、退路は断った。

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