左大胸筋の負傷などで７場所連続休場している大相撲の横綱稀勢の里（３１）＝田子ノ浦＝が１６日、徳島市・徳島文理大での合宿で大関高安（２８）を相手に連日の三番稽古を行い９勝１敗と圧倒した。合宿は１５日に始まり１７日に打ち上げられる。

　同大体育館の２階に土俵が作られ、この日も同大ＯＢらが詰めかけた。「気持ちよく稽古できる。広いところで稽古するのはいい」と気合も十分。

　立ち合いの当たりも強く、右上手を取って電車道。左腕で押し込み、高安を吹っ飛ばすなど患部に力も戻って来ている様子。押し合いにも応戦するなど動きも良かった。

　ぶつかり稽古も行い、高安に何度も転がされ全身、砂まみれ。大歓声も上がっていたが聞こえなかった程で「それだけ集中していたということ」と満足そうに話した。

　この日は同大のオープンキャンパスが開催されていた。稀勢の里は高安とともに、進学を考える高校生らの前にサプライズ登場し、沸かせた。「非常に充実したいい環境で稽古できています。徳島文理大に入っていただいて、来年もまたここでお会いできたらうれしい」とあいさつした。

　稽古の締めは体育館の１階にあるウエート施設を利用。若い衆らとともに２時間近く、体を鍛え上げた。時折、大声で若い衆に気合を付けるなど活気いっぱい。「声を掛け合いながら一丸となってみんな強くなれば。みんなで盛り上げながらやれば（ウエートも）上がらないものが上がる」と充実の表情を浮かべた。