内村航平 わずか3週間で復活の舞!3位から逆転 鉄棒で決めた「素直にうれしい」

 鉄棒で会心の演技にガッツポーズする内村航平(共同)
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 「体操・NHK杯」(20日、東京体育館)

 4月の全日本選手権の得点との合計点で男子個人総合が争われ、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪の同種目金メダリスト、内村航平(29)=リンガーハット=は合計258・629点で3位から逆転し、前人未到の10連覇を達成。9年半ぶりにケガ以外で敗れた全日本選手権から3週間で復権を果たした。0・734点差の2位だった白井健三(21)=日体大=を含めた2人が世界選手権(10月開幕・ドーハ)の代表に決定した。全日本覇者の谷川翔(19)=順大=は4位。世界選手権代表の残り3枠は6月の全日本種目別選手権(高崎)で決まる。

 歴史的な陥落劇からわずか3週間。すべてをねじ伏せるような圧倒的な強さを取り戻して、内村が再び日本の頂点へと舞い戻った。

 首位の谷川翔を約0・8点差で、2位の白井を0・5点差で追う形だった。大会前、内村は佐藤コーチに言った。「普通にやれば、マクれるよな」。代名詞の着地を止め続け、じわりじわりと若手2人を追い詰めていった。最後の鉄棒ではすべての離れ技を華麗に決め、着地もピタリ。勝利を確信したかのように力強く右腕を振った。

 久々に味わった敗北が、新鮮な感覚を呼び起こした。3週間前の全日本選手権。あん馬で落下した予選の出遅れが響き、ケガ以外では9年半振りに“人”に負けた。

 かつて「地獄」と評した“絶対王者”の立場から解放され「一から自分と向き合えた」。試合では1種目25分回るローテーションを、20分間隔で練習し、体力強化に努めてきた。これまで当たり前だった勝利の味は「素直にうれしい。全日本で負けていなかったら、こういう感動は湧いてこない」。格別なものに変わった。

 人々の期待は、再び“絶対王者”へと返り咲く男の姿。ただ、内村は苦笑いで首を振った。「“I was King(王だった)”ですよ。僕は。1回負けているので。“am”じゃない」。もう29歳。かつてのように勝ち続けることが難しいことは分かっている。

 「そこは期待しないでください。僕も人間なので。負けることはある。“人間・内村航平”を応援していただければ」。王道には別れを告げた。しかし、内村にしか歩めない新たな道の先にも、きっと世界の頂はある。

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