稀勢の里5個目の金星配給“出るも地獄、休むも地獄” 休場なら来場所進退問題必至

 「大相撲九州場所・9日目」(20日、福岡国際センター)

 横綱稀勢の里は宝富士に下手投げで敗れて3連敗。黒星先行となった。1場所で5個目の金星配給は、01年秋場所の武蔵丸以来16年ぶり史上最多タイ。3日連続の金星配給も、先場所の日馬富士以来となる史上12人目で15例目。10日目の千代の国戦で敗れれば、史上最多の6個目の金星配給となる。休場すれば来場所は進退が懸かるのは避けられない。横綱白鵬はただ1人初日から9連勝。1敗力士が消えて後続に2差をつけ、40度目の優勝へ独走態勢に入った。

 横綱がぶざまに土俵上でひざまずいた。稀勢の里はこれまで16勝1敗と相性のいい平幕の宝富士に対して左を差し、右で抱えて強引に前に出た。盤石に見えたが、土俵際での下手投げにあっけなく崩れた。会場の歓声がため息に変わる。左上腕部の負傷から完全復活を目指す今場所。先場所は相撲人生で初めて全休し、万全を期したはずだったが、黒星先行の4勝5敗と崖っぷちに立たされた。

 5個目の金星配給は史上最多タイで、10日目の千代の国戦で敗れれば不名誉な記録を塗り替えることになる。支度部屋に戻った稀勢の里は口を真一文字に閉じ、報道陣の質問にほとんど答えず。10日目以降の出場について問われると小さな声で「う~ん」とうなるくらいだった。

 この日の取組について、八角理事長(元横綱北勝海)は「やっぱり負けているだけに焦っちゃうんだよな」と講評。苦境に立つ稀勢の里について「それが横綱の苦しさだよ。大関なら(5敗目を喫しても)あしたから頑張るで済むが、頑張る気力が出てくるか」とおもんぱかり、「横綱の責任もあるからね。力が出せなかったらあれ(休場)だけどね。頑張るしかない」とエールを送った。

 休場すれば4場所連続となり、来場所に進退が懸かることは必至。この日の朝、田子ノ浦親方は「今は相撲を取ることが大事。休んで勝てるんだったら、休んだ方がいいけど」と話していたが、10日目はどう判断するのか。出るも地獄、休むも地獄-。待望の日本出身横綱誕生となった“稀勢の里イヤー”の締めくくりは、一転して悲愴(ひそう)感が漂うものとなった。

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