「スピードスケート・全日本距離別選手権」（２２日、エムウェーブ）

　女子１０００メートルが行われ、中距離のエース高木美帆（２３）＝日体大＝と、短距離のエース小平奈緒（３１）＝相沢病院＝の対決に注目が集まったが、高木が１分１４秒８９の国内最高記録をマークし、同種目初優勝。その後のマススタートも制し、１５００、３０００メートルと合わせて４冠を達成した。小平はゴール直前に転倒し、他の選手を妨害したとして失格に終わった。

　ゴール後、タイムを見た瞬間、高木美は天を指差し、何度も猛々しいガッツポーズを繰り出した。注目された１０００メートルでの短中距離のエース対決。小平が転倒失格に終わり、白黒がはっきりつかない結果となったが、昨年、小平がマークした１分１５秒０８の国内最高記録を大きく上回り、同種目初優勝。「スタートで失敗したけど、焦らずに落ち着いて滑れた。国内で初めて１５秒を切れたのは自信になる」と、充実の笑顔を浮かべた。

　堂々の４冠で五輪シーズンに最高のスタートを切った。「今季の出だしとしてはまずまず。さらに今の自分を超えていけるように、ひたむきに前に進んでいきたい」と、力を込めた。

　一方、５００メートルとの２冠を狙った小平をまさかのアクシデントが襲った。ゴールまで残り３０メートルで躓いて転倒。そのまま同走選手レーンに入り、前方を遮る形となり、失格に終わった。

　「自分でも訳が分からなかった。勢いがありすぎて（スケートの）刃が氷を噛みすぎた」。直前に高木美が国内最高記録を出したこともあり「タイムが出ると思い、私もと思って、ワクワクし過ぎた。やんちゃが出た」と、苦笑いを浮かべた。

　ただ、前日の５００メートルで国内最高記録を出すなど、調子は上々。１１月からのＷ杯に向け「（転倒は）何かのサインかな。でも引くことなく、常に前進していきたい」と、前向きに話した。