羽生、収穫2位…4回転ルッツ初成功 鬼門?6年連続GP初戦で勝てず

 「フィギュアスケート・ロシア杯」(21日、モスクワ)

 男子は昨季の世界選手権王者でショートプログラム(SP)2位の羽生結弦(22)=ANA=が初挑戦の4回転ルッツを決めたフリーで1位となったが、合計290・77点で2位に終わった。シニア参戦後、8季続けてGP初戦での優勝を逃した。昨季の四大陸選手権覇者でSP1位のネーサン・チェン(18)=米国=が合計293・79点でGP初制覇を果たした。

 収穫と反省が入り交じった厳しい表情を浮かべていた。演技後の羽生に笑顔はない。チェンに及ばず「一つ一つ積み重なって3点の差になった」と唇をかんだが、実戦初挑戦の4回転ルッツを成功させた。

 演技冒頭、後ろ向きの滑走から右足で踏みきり、4周回って再び片足で氷に降り立った。同時に大きな拍手と歓声が羽生を包んだ。ジャンプでアクセルを除く4回転で、最も基礎点の高い4回転ルッツを成功させた瞬間だった。

 「緊張はした」と振り返った。そして「まず回転しきったことはよかった」と表情を緩め「試合で決められたことで、(ルッツを入れたプログラムの)イメージがつく」とうなずいた。試合直後にかかわらず、見つめるのはさらに先だった。

 ただ、心も体もその構成に慣れていないのも事実だ。続く4回転ループが3回転になると、演技後半の4回転トーループは2回転になった。「ループは、ルッツとの集中のあんばいをうまく調整しないといけない。まだ、この構成で滑り込み切れていないという感触がすごくある」と悔しさをかみしめた。

 チェンには追いつけなかったが、ミスがある中、フリーの得点は1位。「それはルッツがあったから」と言った。一方「一つのジャンプだけがプログラムじゃない」とも話した。「全部練習しないといけない」というのが本音だろう。このままでは終われない。

 シニア転向以降の8季で、GP初戦の優勝はない。6年連続で2位に甘んじているが、そこから世界王者へと上り詰めてもきた。「少しずつしか成長できない」。ルッツの成功と生まれた課題を改善していってこそ、羽生らしいシーズンの戦い方とも言える。すべてをもう一段引き上げ、五輪連覇への歩みを進める。

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