日馬富士に横綱の意地! 4敗守った 9度目賜杯へ「気合入る」

 「大相撲秋場所・14日目」(23日、両国国技館)

 大関豪栄道が平幕貴ノ岩を執念の渡し込みで下し、連敗を2で止めて11勝目を挙げ、単独トップの3敗を死守した。横綱日馬富士は関脇御嶽海を一蹴し、唯一4敗をキープ。3横綱・2大関不在の異常事態の秋場所は13日目終了時で16人に優勝の可能性がある大混迷だったが、最後は番付上位2人による千秋楽1差での直接対決。豪栄道が勝てば昨年秋場所以来、2度目の優勝が決まる。日馬富士が勝てば優勝決定戦に持ち込まれる。

 綱の意地と誇りが日馬富士の体を突き動かした。目の前で豪栄道が貴ノ岩を破った直後の一番。敗れれば豪栄道の優勝が決まってしまう崖っぷちで、冷静な取り口が光った。

 立ち合い鋭く踏み込み右前まわしを取り、次の瞬間には左もつかんだ。相手に2本差されたが、みじんもあわてず両肘を締める。御嶽海よりも低い姿勢から、相手より先に土俵を走って寄り切った。

 「落ち着いてさばきました。(もろ差しにされていたが)こっちもしっかりまわしを取っていましたから。当たった後は流れですね。(豪栄道が勝った時は)自分の相撲に集中しようと思った」

 今場所は3横綱2大関が休場し一人横綱の重責を担う。3日目から3日連続で金星を与えるなど苦しい時期もあったが、気力だけで土俵を支えてきた。八角理事長(元横綱北勝海)は「気持ちと体が一緒になってきた。調子が悪い中でも千秋楽まで頑張ってきて立派」と褒めたたえた。

 豪栄道に白星1つの差で迎える千秋楽結びの大勝負。9度目の賜杯をつかむためには、本割、決定戦の2勝が必要となるが「気合が入りますね。結果がどうあれ、一生懸命に頑張るだけ」。一人横綱が最後まで土俵を沸かせる。

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