進撃の13歳・張本、史上最年少の8強 揺さぶりに「ふざけんなよ」
「卓球・世界選手権」(3日、デュッセルドルフ)
男子シングルス4回戦で13歳の張本智和(エリートアカデミー)が勝ち、シングルスでは男女を通じて史上最年少での準々決勝進出を果たした。
13歳の快進撃が止まらない。張本が4回戦を快勝し、男女を通じてシングルス史上最年少の8強入りを決めた。「(2回戦で)水谷さんに勝って、エイトには絶対入らなきゃと思っていたので、本当に一安心した」。日本のエースから奪った大金星をフイにするわけにはいかなかった。
これまで、世界トップレベルと称されるバックハンドを武器に、昨年12月の世界ジュニア選手権を最年少で制した一方で、シニアでは苦戦が続いていた。課題は“幼さ”。以前、日本男子の倉嶋洋介監督は「一度うまくいかずに崩れると、自分から集中力を失ってしまうことがあるのが弱点」と喝破していたが、この日は成長した姿を見せた。
試合前から中学2年生の心は揺れていた。「勝ったらベスト8だったので緊張した」。さらに、試合で張本がリードしてからは、世界ランキング156位の相手が揺さぶりをかけてきた。レシーブの構えが整わないうちからサーブを打ってこられ「ふざけんなよ」と冷静さを失いかけた。
それでも、1ゲームは失ったが踏みとどまり、最後まで戦い抜いたのは成長の証し。勝利を決めた瞬間、真っ先にベンチの指揮官に駆け寄って抱き合った。「本当に苦しい試合だったので、本当にうれしくて抱きつきました」。照れくさそうに笑った。
身長も1年で約7センチ伸び、171センチ。“大人”になった天才少年が、史上最年少のメダルにも王手をかけた。