阿部詩が団体初V導き2冠「体験したことないうれしさ」 MVP獲得「自慢します」

 「柔道・全国高校選手権」(20日、東京・日本武道館)

 団体戦が行われ、女子は兵庫の夙川学院高が初制覇した。2月のグランプリ・デュッセルドルフ大会で52キロ級を制した阿部詩(うた、16)は先鋒(せんぽう)として全勝を飾る活躍で、最優秀選手に選出。4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)に向けても「いい勢いで来ているので優勝したい」と弾みをつけた。

 個人戦に続き“天才的な勝負勘”を発揮した。エース阿部は徹底的にマークされ、投げ技での一本勝ちこそ1試合のみにとどまったが、寝技や、相手の指導を誘発するクレバーさで勝利を重ねた。

 準決勝は、味方から「(寝技はやめて)立て」と指示が飛ぶ中でも、「狙えると思ったので」と独自の判断で相手の腕を取り、そのまま押さえ込みに移行して一本勝ちしてみせた。

 決勝では、阿部が指導4つをきっちり奪い、相手の反則負け(一本扱い)で先勝。中堅の岡田萌(2年)が引き分け、大将の吉峰芙母絵(1年)が優勢負けでしのぎ、1-1の内容勝ちで栄冠をもぎ取った。

 勝負のカギは“作戦・阿部詩”だった。他校に比べて大将が体格で劣るため「ウチは前の2人で取らないとあかん」(松本純一郎監督)。使命感を燃やしたエースは「自分が勝たないとチームが乗れない」と、大舞台でも普段同様のムードメーカーぶりを発揮。唯一の2年生で主将の岡田は「(阿部は)先鋒でいつも取ってくれる」と絶大な信頼を寄せ、「後輩だけど同期のように何でも話せる存在。最近シニアでも活躍してうれしいし、自分も頑張ろうという刺激になる」と明かした。

 小学生時代から指導を受ける松本監督を胴上げした阿部は「チームの優勝の方がうれしいし、今まで体験したことがない」と歓喜の表情。兄・一二三(日体大)も達成していない大会2冠&MVPも獲得し、「自慢します」といたずらっぽく笑った。

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