沙羅失速銀 萩原超え日本勢最多4度目総合Vも課題のアプローチでミス

 「ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯」(15日、韓国・平昌)

 平昌冬季五輪のテスト大会を兼ねて行われ、高梨沙羅(20)=クラレ=は1回目に97・5メートルで首位に立ったが、2回目は94メートルにとどまり、合計224・9点で2位だった。男子のグレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)に並ぶ歴代最多の通算53勝達成は持ち越しとなったものの、2季連続4度目の個人総合優勝を確定。複合で3度頂点に立った荻原健司を抜いてスキーの日本勢単独最多となった。1回目2位の伊藤有希(22)=土屋ホーム=が逆転で今季、通算とも4勝目を挙げた。

 よもやの大失速だ。1回目は不利な追い風の中、高梨は無難にまとめてトップに立つ。だが追い風が強まった2回目はK点(98メートル)にほど遠い94メートルに着地。伊藤を逆転できないことを悟り、思わずしゃがみ込んだ。

 2回とも追い風で飛んだのは高梨だけだが、「風というよりもタイミングがちょっと遅れてしまった。ここでそれが出るかと。やってしまったなという感じ」と言い訳にはせず。4度目の個人総合優勝決定にも笑顔はなく、「きょうの試合は自分への悔しい思いでいっぱいです」と言葉を絞り出した。

 大事な2本目で悪癖が顔をのぞかせた。平昌五輪と同じジャンプ台での今大会。課題のアプローチで苦しみ、「助走速度が出なくなってしまった」。プレ大会の1戦目で優勝を逃し、W杯の連勝も3でストップした。

 すべては自分を変えるためだった。昨年春から朝は約30分早く目を覚ます。入念にメークするためだ。「20歳になることで身なりだったり、言動だったり気をつけないといけないと周りから言われていた。お化粧をしろと言われたわけではないけど、自分からやり始めました」。白馬合宿では一人でカフェに行くと、自ら外国人観光客に話しかけたという。「人間力を高めることが大事。だからいろんなことに挑戦したい」。技術だけではなく内面も変えてプレ五輪の地に立っていた。

 「きょう出た課題をあした(16日)につなげたい。いい感覚をつかんで帰りたい」。歴代最多タイの53勝目、そして来年2月の大舞台につなげるため、今度こそ決める。

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