伊藤有希、W杯初V 元祖天才少女が個人出場77試合目で悲願

 「ノルディックスキー・W杯ジャンプ女子」(14日、宮の森ジャンプ競技場)

 個人総合2位につける伊藤有希(22)=土屋ホーム=が1回目に95メートル、2回目に最長不倒の96メートルを飛び、合計254・3点で、個人戦出場77試合目にしてW杯初優勝を飾った。個人総合首位で、W杯通算50勝目を狙った高梨沙羅(20)=クラレ=は93メートル、92メートルの242・1点で2位となり、連勝は3で止まった。

 地道に、着実に伸ばしてきた芽が、ついに表彰台の頂上で花開いた。優勝が決まった瞬間、伊藤は満面の笑みで拳を握った。「やった!!」。今回がW杯出場77戦目。大会前まで2位が6回、3位が4回。どうしても届かなかった優勝を、自国開催の大会で成し遂げ「ナイスタイミング!!」とはにかんだ。

 1回目で95メートルを飛び、2回目は最終ジャンパー。一つ先に飛んだ“絶対女王”の高梨が暫定首位に立っていた。それでも伊藤は落ち着いていた。

 「緊張したら、“今日の夜ご飯、何を食べようかな?”って考えようと思っていたけど、大丈夫だった。自分のやることに集中できていた」

 力強い踏み切りから高く飛び立つと、向かい風をとらえ、軽々とK点(90メートル)を越えて着地。2回目も最長不倒の96メートルを飛ぶ完勝だった。

 07年、W杯より一つ下の格付けとなるコンチネンタル杯では史上最年少の12歳で3位に入り、高梨よりも前に“天才少女ジャンパー”として脚光を浴びた。その後、伸び悩んだ時期もあった。手本としてきたのが、同じ北海道下川町出身で、所属の土屋ホームの監督でもある葛西紀明。「言葉じゃなく、行動や成績、練習の姿勢で見せてくれる」。44歳ながらトップジャンパーであり続ける男の背中を道しるべとして、成長を続けてきた。

 22歳が大きな殻を破った姿に、日本代表の山田いずみコーチは「(高梨の)一枚看板より二枚看板の方がいい。いい流れになってきた」と目を細めた。平昌五輪があと1年に迫る中、日本女子にもう一人のエースが誕生した。

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