マラソンニッポン再建へ“瀬古節”全開「貧乏くじ引きたくない」

 日本陸上連盟が低迷するマラソンの再建を目指し新設した「長距離・マラソン強化戦略プロジェクト」のリーダーに就任した瀬古利彦氏(60)が3日、DeNAの総監督として来場した東日本実業団駅伝後に報道陣の取材に応じ、舵取り役として、“瀬古節”全開で所信表明を行った。

 「僕だって本当は貧乏くじを引きたくないよ」と本音を吐露しながら「でも東京で五輪があるんだから。本当のマラソンを知らない指導者も増えてきている。これまでの経験を生かして、少しでも貢献できればと思う。覚悟を持ってやる」と、意気込みを語った。

 そして、現在の日本のマラソンの現状を、次々とぶった切っていった。まず大きな課題として、練習量の少なさを挙げ「練習が足りない。練習したらけがをするって?けがしないために練習するんだから。指導者も恐れちゃっている。僕らの頃より練習していないのに、けがをする。今の練習では100年経っても、五輪でメダルなんて取れない」と、キッパリ。「僕の時は(ライバルの)宗(兄弟)さんたちがものすごい練習をしていたし、それに勝つために、覚悟を持ってやっていた。僕が中村(清)監督にやらされていたような練習もやらないといけない。女子も有森やQちゃん(高橋)ぐらい練習しないと。Qちゃんはあの練習で(2時間)19分を出した訳だから」と、力説した。

 さらに話は選手の意識の問題にも及んだ。今年1月の大阪国際で福士加代子(ワコール)が2時間22分17秒で優勝し「リオ決定だべ!」と絶叫していたが、「2時間22、23分で“リオ決定だべ”って…。そりゃQちゃんぐらい走れば決定だけど」と、苦言を呈した。

 また、若手の台頭が乏しい中、マラソンに挑むことへの意識改革の必要性も訴え「僕らの時は、マラソンで駄目なら死ぬぐらいの気持ちだった。マラソンには覚悟がいる」と、語気を強めた。その上で「必要があれば、僕が各実業団のトップに直談判にいく」と、若い選手に積極的にマラソン挑戦をうながしていく方針を示した。

 リーダーとしての初仕事として、女子の世界選手権の代表選考会を兼ねる13日のさいたま国際マラソンを視察する予定。自ら引きにいった“貧乏くじ”を“当たりくじ”に変えるための改革が、いよいよ始まる。

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