レスリング・登坂絵莉の渋い「勝ち曲」

 スポーツと音楽の関係性は興味深い。五輪担当としてさまざまな競技の取材に赴くと、練習会場で音楽がかかっていたり、試合前のアップ中の選手がイヤホンで音楽を聴いている姿をよく見かける。中にはルーティンのように“勝ち曲”を持っている選手もいる。世界トップを狙うアスリートがどんな音楽を聴いているかは個人的に興味深かったりする。

 中でも意外だったのがレスリング女子48キロ級でリオデジャネイロ五輪代表の登坂絵莉(22)=至学館大。カラオケ好きでもある彼女は好きな音楽の1つとして、意外にも結成25年を超えるベテランバンドの名前を挙げた。

 「ザ・ピロウズ(the pillows)が好きです。カラオケでも必ず歌いますね。歌詞がすごくいいし、テンポもよくて気分が上がります」

 ピロウズは89年結成し、91年にメジャーデビューした男性3人組のロックバンド。大ヒットと呼べる曲こそないものの、これまでに19枚のアルバムを発表。代表曲の「ストレンジカメレオン」や「ハイブリッドレインボウ」をはじめ、ブレない反骨的なスタンスと地道なライブ活動で根強い人気を誇っている。

 93年生まれの登坂は、ピロウズを知ったきっかけとして「日本のロックが好きな友達に勧められて、聴いてみたら歌詞がすごくよくてハマりました」と明かす。特に好きな曲は「ランナーズ・ハイ」「プロポーズ」などで、中でも一番のお気に入りは「Funny Bunny」。99年発売のアルバム「ハッピービバーク」に収録され、ファンの間でも人気の高い名曲だ。

 「サビの“キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで走ってきた”っていう歌詞がヤバイですね。グッと来ます」

 かねて「気分では練習したくない。負けたときに練習のことを思い出すので、絶対に後悔したくない」と話す22歳は、誰もが認める練習の虫。だからこそ、苦節の中でもブレずに活動を続けてきたベテランバンドの歌詞に共鳴し、歯を食いしばってきたのかもしれない。

 登坂の夢はもちろん五輪の金メダル。「I think I can」。猛練習で臨む8月は、きっとそんな心境でリオのマットに立っているはずだ。(デイリースポーツ・藤川資野)

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