立命大5年ぶりV 激走西村MVP2冠

 「アメフット・甲子園ボウル、立命大28-27早大」(13日、甲子園球場)

 西日本代表の立命大(関西)が東日本代表の早大(関東)を28-27で下し、5年ぶり8度目の優勝を果たした。2TDランの立命大RB西村七斗(2年、大産大付)が甲子園ボウル最優秀選手と年間最優秀選手(ミルズ杯)の2冠を獲得した。早大は02、10年に続いて立命大に屈し、初優勝はならなかった。立命大は来年1月3日の日本選手権、ライスボウル(東京ドーム)で、社会人王者(14日決定)と対戦する。

 1点リードして残り3秒。早大のラストプレーとなる52ヤードのFGが左にそれると、立命サイドから大歓声が上がり、選手はフィールドになだれ込んだ。喜びと安ど感いっぱいの学生日本一。だが、想像以上の接戦にホロ苦い後味も少し残った。

 3本のTDで一時は21-0とリード。守備陣も相手にほとんどゲインを許さず、序盤は完全に圧倒した。しかし、早大の猛反撃に遭い、スペシャルプレーやロングパスで一気に形勢が逆転。第3Qにひっくり返された。

 一度失った流れを再び立命大に引き戻したのはRB西村だった。戦前から公言していた通り、チームの軸はラン攻撃であり西村。試合開始から2年生エースを走りに走らせた。その数30回。一人で計219ヤードを稼いだ。

 第4Q、QB西山の逆転TDランは、その直前、5回連続で託された西村が相手ゴール前まで攻め込んだことで生まれた。右足もつったが、4年間、一度も甲子園に出られなかった卒業生や、今年に懸ける先輩の思いを知っているからこそ、「自分がやるしかない」と、痛みをこらえて懸命に走った。

 3兄弟の末っ子。長男・拓斗(25)は立命大でプレーし、3年時に優勝。4年時は関学大に完敗だった。次男・有斗(21)は現在日大4年。エースWRとして活躍したが、早大に屈した。前夜、1年ぶりに家族が実家で顔を合わせ、有斗は最近まで使っていた真っ赤なグローブを弟に差し出した。「あしたじゃなくてもいいから使ってや」。三男坊はその手袋を付けて大一番に臨んだ。

 5年ぶりの戴冠。ミルズ杯と甲子園ボウルMVPの2冠は07年以来。2年生での受賞は94年のQB東野(立命大)以来21年ぶりの快挙だ。ライスボウルでも「当たり負けしないように独走したい」と西村。成長株の20歳は、まっすぐに前へと進む。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス