羽生史上初300点超え別次元!圧巻V

 「フィギュアスケート・GPシリーズ最終戦・NHK杯」(28日、長野ビッグハット)

 男子フリーが行われ、前日のSP(ショートプログラム)で自身の世界最高記録を更新する106・33点を記録した羽生結弦(20)=ANA=が完璧な演技を見せ、フリーでも216・07点、総得点も322・40点の世界記録をマーク。今大会3つの世界新を樹立する圧巻の内容で、3年ぶり2度目の優勝を飾った。羽生は史上初の3連覇が懸かるGPファイナル(12月10日開幕・バルセロナ)への出場を決めた。

 氷上に舞い降りた陰陽師は悪霊も重圧も、そしてフィギュア界の常識をも打ち破った。荘厳な和笛と太鼓が鳴りやむと、羽生が力強く右拳を振り下ろした。計3本の4回転を含め、全ジャンプを完遂。SPに続き、フリー、総得点でも世界記録更新の確信はあったが、表示された得点は、その羽生でさえも驚かせるものだった。

 フリーで史上初の200点超えとなる216・07点、総得点では史上初の300点超えとなる322・40点が表示されると、両手を頬にあて、目を丸くした。これまでチャンが持っていた世界記録をフリーだけで19・32点、総得点で27・13点も上回る別次元のハイスコアに「いまだに信じられない。ただ、得点は狙っていた。“絶対王者だぞ”と言い聞かせて、プレッシャーをかけていた」と、破顔一笑した。

 こだわりのプログラムで、金字塔を打ち立てた。陰陽師、安倍晴明を演じるフリー「SEIMEI」は自身初の“和”のプログラム。「苦手」と話すややスローな曲調だったが、初めて自身も編曲にも携わり、ジャンプを跳びやすくするため、コンマ数秒単位で曲のピッチを調整した。

 シーズン前には映画「陰陽師」で安倍晴明を演じた狂言師、野村萬斎さんと対談する機会もあった。指導されたのは、動きの一つ一つに意味を持たせること。演技開始時のポーズは、萬斎さんの教えからアレンジした。この日の表現力を示す5項目の構成点では、驚異的ともいえる9点台中盤から後半が並んだ。“天才”と称される希代の表現者から、演技の神髄を吸収し、それを氷上で体現した。

 おそらく未来永劫(えいごう)語り継がれる演技で、男子では史上初の3連覇が懸かるGPファイナルへの切符を手にした。「まだこれが平昌(五輪)でもないし、引退の試合でもない。もっともっとみなさんの心に残る演技をしていきたい」。14年ソチ五輪の金メダルは、伝説の序章にすぎなかった。天井知らずのハイスコアに、今後もさらに刻まれていくだろう数々の記録-。羽生が刻む氷上の軌跡の終着点は、まだまだ見えてこない。

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