内柴被告が控訴“全面敗訴”に苛立ち

 指導していた大学の女子部員を乱暴したとして、準強姦罪に問われている柔道のアテネ、北京五輪男子66キロ級金メダリストの内柴正人被告(34)の判決公判が1日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)で開かれ、求刑通り懲役5年の実刑判決が言い渡された。内柴被告は主張がほぼすべて退けられる“全面敗訴”の内容に不満を示し、法廷内で控訴を宣言した。古巣の全日本柔道連盟が、暴力、パワーハラスメント問題に揺れる中、金メダリストの有罪が“お家芸”に追い打ちを掛けた。

 黙っていられなかった。判決理由が終わり、起立の指示に、内柴被告は苛(いら)立ちを示すようにゆっくり立ち上がると、鬼沢裁判長の「被告人には控訴することができ‐」との説明を遮り、食ってかかるように「はい、(控訴を)させていただきます」と、不満げに言い放った。法廷内での控訴宣言。弁護団があわてて制止に入るほど、殺気をほとばしらせた。

 まさに“一本負け”と言っていい全面敗訴の内容だった。「性行為中に被害女性に意識があった」、「ホテルに行く前のカラオケ店で、女性の方から口淫し誘ってきた」などの被告側の一連の主張を、鬼沢裁判長は「被告の供述は全く信用できない」と、“一刀両断”。「五輪2連覇という輝かしい実績を持ち、これから指導者として期待されながら、自らの性的欲求を満たすために、教え子を姦(かん)淫し、反省の色も全く見られない」と、断罪した。

 昨年12月末の最終弁論では「無罪を確信している」と話していた内柴被告だけに、最初に懲役5年の実刑が言い渡されると、動揺を隠せなかった。少しぼう然とすると、顔を両手で覆い、握った拳、唇を震わせた。判決理由が言い渡されている間はうつむいたり、椅子の背にもたれかかり、髪をかきむしるなど落ち着かない様子。うつろな瞳は、終始宙をさまよった。

 判決後は弁護団を通じて「応援してくれている方々にとっては残念な結果となってしまいましたが、まだ僕には頑張る気持ちがあります。もう少し待っていて下さい。僕は無実です」と、談話を発表した内柴被告。ただ、金メダリストの有罪という事実が、暴力、パワハラ問題に揺れる柔道、また日本スポーツ界にさらなる影を落とした。

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