5連勝広島の首位返り咲きキーマンは「薮田」だった

 予想外のことが起きまくった先週(23~28日)のカープだった。敵地ナゴヤでの中日3連戦(19~21日)でまさかの3連戦3連敗を喫し、5月のアウエー成績が1勝8敗(ホーム7勝1敗)という完全な“内弁慶”ぶりを露呈して本拠地マツダに戻った。我が家でも敗れて4連敗ともなれば完全に赤信号が点滅する事態に、さらにアクシデントが勃発。23日のヤクルト10回戦に先発した野村が腰に違和感で緊急降板した。最低でも5イニング以上は任せられる右腕エースが3回でベンチに下がる非常事態を救ったのが、2番手でマウンドに上がった薮田で、彼の期待以上の働きがチームの連敗を止めたばかりか、週末G3連倒へ勢いをつけた。

 3連敗の中での野村離脱は、緒方監督ら首脳陣にとって痛恨の極みだったに違いない。勝ち星こそ3勝ながら、野村の安定感はカープ先発陣の中では群を抜いていた。腰痛症から中崎も戻り、あとはジョンソン待ち、という状況だっただけに、一気に暗雲がベンチを覆った。そんな中での薮田だ。2-2の同点の場面で登板し、3イニングを無失点。気持ちの込もった投球で“野村ショック”を吹き飛ばしてみせた。その間に安部の勝ち越し打が生まれ、七回は中崎、八回ジャクソン、そして最後を今村が締めて逆転勝利。薮田を含めた4人の「無失点リレー」が、翌日の大瀬良の好投につながり、そして週末の巨人戦に大きな影響を及ぼした。5連勝で阪神と入れ替わって単独首位に立てた殊勲者は、まさしく薮田。そして中崎、ジャクソン、今村、さらに中田、一岡の「リリーフ陣の一週間」だったと言える。

 リリーフ陣が登板した17イニングでわずかに2失点。月初めの甲子園と神宮(5~11日)で炎上を続けた姿はどこにもなかった。同じ立場で長年やってきた私の目には、彼らの成長が手にとるようにわかる。私も現役時代、中田や今村、中崎らと同じ立場でやってきた。言わば『仲間』であるが、彼らの成長で私も引き際を決意した。その時よりも、中田や今村はさらに成長しているように感じる。どん底を経験し、そこから這い上がってきただけに精神力が強くなった。これまで彼らが揃って働くことがなかった。1年間リタイヤせずに投げることができれば、リーグ連覇は自ずと見えてくるはずだ。5連勝目になった28日の巨人11回戦(東京ドーム)などはまさに「リリーフ陣で拾った白星」の典型。先発・中村祐が5回2失点で降板した後、中田以下の5人が無失点でたすきを渡し、延長戦での逆転勝利に貢献した。これが苦手の敵地だったというのも意義深い。

 再度、薮田に話を戻すが、明日(30日)からの交流戦では先発での起用が濃厚になっている。先発の頭数が揃えばまた中継ぎに戻ることを思えば、いろいろ大変だろう。だが、今の彼なら十分やれる。置かれた場所で咲け-。カープを単独首位に戻す流れを作ったこの若者に、今週もまた大いなる期待をしてみたい。

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