『連覇への秋』をにらんだ緒方さい配

 開幕から快進撃を続けていた緒方広島は、先週末の阪神3連戦(甲子園)の初戦(14日)に敗れ、連勝が「10」でストップ。3戦目(16日)も初めて逆転負けを喫して今季初のカード負け越しになった。先週は『中崎抹消』という嫌なニュースからスタートし、最後も負けて終わったわけだが、それでも4勝2敗と2つの貯金ができたことを考えれば十分な内容と言える。

 11~13日の巨人3連戦は、先発の野村、床田、大瀬良がそれぞれ失点しながらも打線がカバーして3連勝を飾った。2戦目の床田は5失点したものの、7回まで踏ん張ってプロ初勝利。これはすごく良かった。また3戦目の大瀬良も初回にもらった4点のリードをすぐに吐き出し、逆転まで許したが、九回怒涛の7得点で黒星を免れた。二人共粘ってそれ以上の失点を重ねなかったのが、打線の奮起を呼んだ。そして15日からの阪神3連戦。初戦の加藤こそ制球に苦しんだが、完投勝利の岡田や自己最多の138球を投げた九里は十分な投球ぶりだった。

 先週の6試合で見えてきたのは、緒方監督の「先々をにらんだ投手起用」である。昨年は完投能力のある先発投手はジョンソン一人で、16勝で最多勝をマークした野村に関してはほぼ一貫して六、七回で交代させ、必勝リレーを敷いた。へーゲンズ(途中から今村)、ジャクソン、中崎の“勝利の方程式”がフルに機能してのリーグ制覇だったわけだが、連覇、日本一を見据えた場合、中継ぎ、抑えの負担軽減は絶対条件になる。確かに中崎抹消の影響もあっただろう。しかし、今年の緒方さい配には先発投手陣の「もう1、2イニングを‼」という思いが強く出ている。そして、それに若い投手たちが見事に応えている。

 特に目を引いたのが、15日の阪神5回戦で今季2勝目を挙げた岡田だった。開幕2戦目の1日(阪神2回戦・マツダ)こそ四球連発で自滅したが、8日(ヤクルト2回戦・マツダ)では気持ちを切り替えて見事なまでに立ち直っていた。九回途中まで1失点という投球が自信になり、猛虎打線を全く寄せ付けなかった。本当に「すごい球」を投げていた。私が見る限り、113球の完投でもまだ余力が残っていた。緒方監督が「1人で投げきったことは大きな自信にしてほしい」と語っていたが、本当にそう思う。左腕エース・ジョンソンが体調不良から抹消中という今、この岡田にかかる期待はさらに増している。この岡田ら若い先発投手たちが少しでも長いイニングを投げることで、救援陣の疲労も軽減されるし、より強い信頼関係が生まれるに違いない。

 初の負け越しと言ってもそう心配することはないと思う。18日からDeNA、ヤクルトという下位チームとの6連戦。まずは地元でしっかりとDeNAに勝ち越すこと。初戦に先発する野村が、5回3失点だった巨人戦からどんな投球を見せるか。連戦の頭を取って再進撃への足がかりとしてほしい。

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