香川・高島 6年間に悔いなしも「野球が好きやけん」地元で軟式野球を
【香川・高島優大捕手】文=高田博史
高島優大がチームメートからそれを尋ねられたのは、徳島で3年目となる2014年の練習中だった。
「タカシさあ、実際2年もヒット出てないのに、どういう気持ちで野球しよん?」
決してちゃかされているわけでなく、真剣な表情で尋ねられている。彼が聞きたかったのは、どうして試合にも出られない状況で、そんなに頑張れるんだ?ということだったのだろう。
「ほなって、野球が好きやけん」
そう答えた。学べることがたくさんある。面白くないなどとは、これっぽっちも思っていなかった。
「今年が最後」という気持ちは、4年目(15年)あたりから毎年のようにある。本格的に先発マスクをかぶり始めるようになったのは、香川に移籍した16年からだ。この年61試合に出場し、3本塁打を放っている。
やっと1シーズンを通して試合に出られた。これだけできるんだ、という確認ができた。これがスタート、リスタートだ。
「最後はチャレンジじゃ。これであかんかったら、そこまでの選手やし」
だが、17年は捕手として悩み続ける1年となった。
エース・原田宥希とバッテリーを組んだ、最後の3試合が集大成となる。高松でのホーム最終戦、チャンピオンシップ第2、第4戦は、これまで6年間のなかでも、心底から野球を楽しめた3試合となった。
19日に引退が発表されている。伝えられなかった後輩へのメッセージがある。
『この世界にいる以上は、常に上を目指してほしい。上を目指す人間に、負けてもいい勝負はないと思います。チームとしても個人タイトルにしても、上に行きたいなら常に1位を目指して下さい。そこを目指し続けられる人間じゃないと、NPBは見えてこないと思います』
3年間務めた会社を辞め、アイランドリーガーとなったことに悔いはない。NPBへの挑戦には区切りを付けるが、地元・徳島に戻って軟式野球を続ける。
「ほらほうでえ!野球せなおれんもん!多分、一生野球中心じゃ」
ずっと、野球小僧のまま--。