徳島・橋本「勝ちにこだわって」 リーグ1位の得点で頂点に…引きずらず次の人生へ

 【徳島・橋本球史外野手】文=高田博史

 2016年10月、橋本球史は宮崎で、グランドチャンピオンシップ(GC)のネット中継を見ていた。

 1週間前、愛媛と対戦したチャンピオンシップ(CS)で1勝もできず、年間王者を逃している。悔しがるファンの姿が、はっきりと記憶に残っていた。

 「少ないですけど、泣いてる人もいたし。自分ら以上に……」

 3年目のシーズンに挑んだ理由は、あの日の屈辱を晴らしたかったからだ。普段はあまり感情を表に出さないほうだが、胸に熱いものを秘めている男だった。

 「とにかく日本一っていうか、グラチャンに行きたかったですよね。BCリーグから獲りたかった」

 独立リーグの野球は難しいと話す。1年目は「勝つことよりも自分が成績を残して上に行くところなんでしょ?」と思っていた。だが、個人アピールだけに徹すれば、チームがバラバラになる。そういうチームにつまらなさを感じていた。変わったのは、自分が中心選手となった2年目以降だ。

 今年のチームが始動した3月、副主将としてあいさつしている。

 「『自分の成績が良ければ勝てなくてもいい、みたいなチームにはしたくない。勝ちにこだわってやりたい』って言って。それにみんな、ついて来てくれた」

 ガムシャラに走り、盗塁王に輝いた昨年の21盗塁と「9割はセーフにできる」と思わなければスタートを切らなかった、今年の21盗塁とでは中身が違う。勝つために、得点を奪うことにこだわり続けた。リーグ1位の44得点は、公式戦の数が80を切った過去3年間で最多の数字である。

 1番・右翼手としての存在感は際立っていた。GC第5戦(10月18日、JAバンク徳島)。いつ降りだしてもおかしくない状況のなか、初回に左前安打で出塁し、先制のホームを踏む。

 「CSとGCに関しては、シーズン中以上に仕事できたなって。塁に出られたし」

 頂点に上り詰めたことで得た満足感は大きい。スカウトに見てもらえる環境でこれ以上ないほど試合をこなしたのだから、諦めもつく。引きずらずに、次の人生へと進むことができる。

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