徳島・三國 会社員から再度NPBの道目指す 目標は「トリプル4」
【徳島・三國和磨外野手】文=高田博史
今年1月、徳島の新入団発表会見で、三國和磨が豪語した。「成績において、目標は?」と質問されたときだ。堂々「4割、40本、40盗塁です」と言ってのけた。
前期を終えて、さすがに「トリプル4」達成は厳しそうだが、打率は・320以上をキープしている。
「まさか、こんなに残るか!と思っていて。正直、前期は自分のなかでよくできたかなあと思っているし、3割5分は行きたかったなあと思うんですけど、実際そんなに甘い感じでもなかった。それなりに(よくやった)という感じですね」
高校時代、千葉・木更津総合の3番・中堅手として甲子園に出場。だが、ドラフトで指名漏れしたことで野球に区切りをつけた。その後4年間、鋼管製造メーカー、飲料メーカーなどで会社員として働いている。
きっかけは、元チームメートから「アイランドリーグのトライアウトを受ける」と聞いたことだった。プロ野球はNPBしかないものと思い込んでいた。不完全燃焼のままやめたことも、ずっと尾を引いている。
母校に頼み込み、後輩たちに交じって体を作った。トライアウトに合格したあとも冬合宿に参加させてもらっている。
「4つ下の子たちに置いていかれないよう、必死に。その時点でプライドとかなくなりました。後輩に見せる姿は強くありたかったですけど」
後輩の雑用を手伝う。教えられることなら教えてあげる。高校時代には考えられなかったことだ。社会でもまれた経験が、人としての幅を広げている。恩師・五島卓道監督に「遠回りしたけど、お前らしくやれば大丈夫。とりあえず、頑張れ」と言ってもらえた。
5月11日、対高知前期7回戦(JAバンク徳島)母・球枝さんの見つめる前で、1号ソロを放っている。
「前日から見に来てくれていたので、なおさら気合入って。『野球やる』って言ったときも、むちゃくちゃ喜んでくれましたし」
自分の一番得意な野球で活躍したい。野球を仕事にできたら最高じゃないか。ブランクをものともせず、再びNPBを目指す道へ。決断に後悔は全くない。