高知・嘉数、球児の言葉を胸に…優勝へ投手陣を引っ張る
【高知・嘉数勇人投手】文=高田博史
何かと話題の高知だが、すでに2月から15戦以上の実戦をこなしている。
「去年終盤の連勝に近い感じ。点の入る雰囲気が見えてきた。内容にこだわってやってきて、やっと結果が付いてきたかな。まだオープン戦の段階なので、なんとも言えないですけど」
そう語るのは嘉数勇人主将だ。実は昨シーズンの終わりから、できることなら自分が主将をやりたいと考えていた。
技術面以外でチームとして足りないものや、修正すべき点がたくさんある。あとで「ああしておけば良かった」と後悔したくない。駒田徳広監督(元巨人ほか)から受けた主将就任の依頼も、望むところだった。
「僕が2年高知にいたなかで、縦のラインが機能していない部分があった。監督、コーチがいて、その下に主将、副主将がいる。チームとしてうまく回るためには、僕らがやることをやらないといけないと、常々思ってます」
2人の副主将がいることは心強い。深江真澄(元オリックス)と宮下黎が野手をまとめてくれる。投手である自分は、投手陣をまとめることに集中できる。
「チームが優勝することしか考えてないっていうのが一番ですよね。個人的な結果もほしいんですけど、まずはそっちでいま、頭がいっぱいで。いままで悔しい思いをさせられていたというか、負けグセがついちゃってた部分もあると思うので。やり返したいですね、ほかの3球団に」
この1月は故郷・沖縄で屋宜、上原(日本ハム)大隣(ソフトバンク)らと自主トレを行った。NPBレベルの球のキレはもちろん、彼らの練習に取り組む姿勢に刺激を受けている。
この3月で27歳になった。だが、確実に成長していることを肌で感じている。
「年齢は関係ないと思っているので。だから、まだやろうという気にもなりますし」
大切にしている言葉がある。
「諦めなかったら、誰にでもチャンスはある--」
2年前の最終戦が終わった夜、当時高知に在籍した藤川球児(阪神)が、最後に言った言葉を胸に抱く。