「北米遠征」は選手育成の重要なメソッドに

 【16年を振り返って】=文・高田博史

 7月2日(カナダ現地時間)北米遠征を戦い終えたリーグ選抜チーム・中島輝士監督が言った。

 「みんな、ガムシャラに野球に打ち込んでくれたっていうのはね、彼らにとっては今後の糧になるし。この遠征でいろんな体験ができて、将来の財産になる」

 2度目の北米遠征は、昨年の3週間を上回る1カ月間の長丁場となった。アメリカ、カナダを転戦して行われたキャンナム・リーグ(米・独立リーグ)公式戦は、1つの歴史を刻んだキューバ代表戦まで全20試合が行われた。昨年の成績を勝率で上回る、8勝12敗で全日程を終えている。

 取材を続けていて気付いたのは、北米遠征での経験が、選手のその後のパフォーマンスに多大な影響を与えているということだった。平良成(高知)が言う。

 「そこに選抜されるまで、何かを確立してきたメンバーだったので、刺激を受けたっていうか。『もっとしっかりしなきゃな』って思えたのが大きかった」

 リーグを代表する選手たちが、お互いに刺激を受け、与え合う。遠投する松本英明(高知)の姿を見て、力の抜き方を学んだ木下雄介(中日育成、元徳島)などは、その顕著な例だろう。

 上に行かせるために経験を積ませる。リーグ側は前期リーグ戦の成績だけでなく、ドラフト指名を受ける可能性を深く考慮し、真剣にメンバーを選出していた。

 選抜チームで寝食を共にして過ごす1カ月間が、意識の高い選手ほど大きな変化と効果を生む。リーグ事務局長、坂口裕昭が語る。

 「ドラフトで指名されたのは全員、北米遠征組です。去年、今年と、あれを乗り越えられたやつだけが、ドラフト指名を受けられるんです。それを本当に実証してくれている」

 そして、選抜されず四国に残った選手たちが、いかに後期、逆襲に燃えていたかは、以前ここでも書いた。

 現在、3度目の北米遠征を行うかどうかは未定である。しかし、選抜チームとして活動することの意義は、決して小さくない。

 北米遠征はアイランドリーグが実証してみせた、選手育成のための重要なメソッド(方式)だった。

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