開幕直前WBC ライバルの韓国、台湾、中国の仕上がり具体は…

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の開幕が迫るなか、アジアの参加国も各地で練習試合・強化試合に熱を入れている。

 1次ラウンドA組が初の本国開催となった韓国は、沖縄合宿で巨人、DeNAと対戦。0対4、2対3と敗れた。打線の迫力不足は否めなかったが、練習と本番では意気込みがまったく異なるのが韓国。その証拠、というわけではないが、合宿を打ち上げ帰国後の25日、26日には本番の舞台となる高尺ドームでキューバを迎えての2連戦を行った。結果は6対1、7対6の連勝。打線は活発化してきた。なかでも6番に入った孫兒葉外野手は25日に本塁打、26日には5打数4安打2打点とエンジンがかかったようだ。韓国内では安打製造機の異名を持ち、2014年には打率・362、昨季はシーズン186安打など不動の実績を誇る。ただ国際大会での目立った活躍はなく、今回もメジャー組の不参加から繰り上げで招集された存在だった。とはいえ金寅植(キム・インシク)監督が6番に入れるところを見ると、期待のほどが窺える。他方、投手陣はやや不安定。張元準(チャン・ウォンジュン)ら先発組はともかく、2番手以降の中継ぎ陣の制球が甘い。26日の試合では、7回に7対3とリードし、ほぼ勝利を掴んだにもかかわらず、後続の投手陣が3失点し、最後は1点差での辛勝となった。このあたり、宣銅烈(ソン・ドンヨル)投手コーチがどう調整してくるか。

 台湾は今、神戸にやってきている。2月上旬には豪州に渡り、練習と対外試合で汗を流し、一時帰国を経てA組のため韓国入りする直前合宿として神戸にやってきた。日本新薬など社会人チームに協力を得て、実戦を積む(ちなみに26日の日本新薬との試合は2対0の勝利)。

 台湾も一時帰国の際にキューバと2試合対戦している。結果は2月20日が2対6で敗戦、翌21日は4対2で勝利。ただ韓国同様、投手陣の脆さが目立つ試合で、こちらも本戦が不安視される。郭泰源監督の頭痛も続く。

 日本に先立つ3月6日に韓国対イスラエル戦で開幕するA組は、本命がオランダで、韓国、台湾がそれに継ぐというのが一般的な評価だ。実際、オランダはメジャーの若手が内野陣を固める実力者。当然、韓国、台湾も打倒オランダを念頭に置く。ただ韓国対台湾も、いわば宿命のライバルといえる。

 日本では「韓国はいつも日本を宿敵と見ている」と考えられているが、実際はそう単純ではない。韓国からすれば、台湾は絶対に勝たねばならない相手。台湾も同様に見ている。かつての五輪予選やWBCでも、上位ラウンド進出枠はふたつ。だから予選で日本に負けたとしても、本戦に出るためには絶対に叩かなければいけない相手同士。その図式は今大会でも変わらない。それでいて両チームとも現状の打高投低状態が続くとすれば、ノーガードの打ち合いになるか。

 中国も日本に入った。中国はアリゾナで練習を積んだ後、鹿児島に入り、25日には青島のひむか球場(旧宮崎市民球場)で巨人3軍と練習試合(6イニングの特別ルール)を行った。結果は0対3で敗戦。ただブルース・チェンなどメジャー経験者や海外でプレーする主力選手5名は、3月2日に大阪から合流する予定だという。それを考慮すれば、いかに3軍相手といえども、印象に残る選手も少なからずいた。

 たとえば先発した揚燕勇(ヤン・ヤンヨン)投手は、中国の国内リーグでプレーする23歳。13年の前回大会では外野手として出場経験もある、身体能力の高さが窺える選手だ。実際、球速こそ140キロ未満と見られたが、それでもしっかりと腕を振り、ボールを切っていた。その後に登板した投手も皆、かつての手投げのような変則フォームのイメージはなく、下半身を使い腕を振る基本が身についた投手ばかり。着実に、レベルは上がっている。ただ日本の打者のレベルからすれば、なまじの変則フォームの方が相対しにくく、きれいなフォームの方がむしろ打ちやすくなってしまう。それが野球の難しいところだ。

 26日には、鹿児島で韓国Ktの2軍と対戦し、6対5で勝利した。28日には宮崎・清武でオリックスの2軍とも対戦する。

 巨人3軍との試合後、マクラーレン監督はこう言っていた。「勿論、目標はWBCも優勝だが、現実は理解している。私は選手たちに“明日への進歩”が大事だと説いている。今日より少しでも進歩すること。それが大事なのだと」。

 本戦での苦戦は避けられないのが中国の現実。だが中国野球も徐々にだが、間違いなく歩みを進めている。

 24日には豪州チームもソウル入りした。

 本番は、もうすぐだ。

編集者のオススメ記事

亜細亜新野球事情WEB版最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス