「全国高校野球選手権・１回戦、大阪桐蔭７－４東海大菅生」（１７日、甲子園球場）

　八回降雨コールドとなった第１試合を見ていて、１９８８年夏に滝川二－高田の八回降雨コールドとなった試合を思い出しました。

　初出場の岩手代表・高田は九回の攻撃を残して敗れるのですが、のちに作詞家の故阿久悠さんが「甲子園に一イニングの貸しがある」などと選手の無念をつづり、その詩が同校の出場記念碑に記されました。

　それが今回の試合と重なりました。東海大菅生（西東京）は３点差の八回１死一、二塁で試合終了。僕なら不満を持ったと思います。ですが、本田投手は試合後のインタビューで一切言い訳せず「力を出し切れた」と言い、「阪神園芸の方が土を運んでくれて…」と感謝の言葉まで並べていました。

　ですが、２年生の福原捕手の話題になると、涙が止まらなくなりました。本田君が東海大菅生に誘った経緯があり、いろんな思いが交錯したんでしょう。

　余談ですが、後に高田は東日本大震災で津波に襲われ、校舎が全壊するほどの被害を受けた中で、記念碑は流されませんでした。高田は８８年を最後に甲子園に帰って来られていませんが、それほど球児の思いは強かったのかもしれません。

　今大会で「甲子園に２イニングの貸し」ができた東海大菅生。福原君が強い思いを持って、甲子園に帰ってきて本田君の分も活躍してくれると、ドラマチックですね。

　◆かみじょうたけし（本名・上条剛志）1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路島出身。龍谷大卒。血液型A型。身長170cm、体重50kg。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。