改めて感じた甲子園の力「周りに及ぼす影響力を感じました」
「選抜高校野球・準々決勝、東海大相模8ー0福岡大大濠」(29日、甲子園球場)
東海大相模は序盤から逆方向を意識したバッティングがつながったことで、大量得点になったのかなと思いますが、先発した石田君の快投も光りました。
14三振で完封したピッチングはもちろん、8点リードの八回の打席でセカンドゴロに倒れた場面でも、そんなに走らなくてもというぐらいの全力疾走です。無理せず、あとは抑えればいいだけという展開にも関わらず、最後まで手を抜かないところに、スローガンの「アグレッシブベースボール」の姿勢を見せてもらいました。
取材で、東海大相模のアルプスにも行かせてもらいました。そこには、この日1番を打っていた門馬監督の次男・功選手が所属していたヤング相模原ベースボールクラブの後輩たちが応援に来ていて。その中であと二塁打でサイクルヒットという大活躍でした。
門馬君の活躍に喜ぶ後輩を見ていたわけですが、そんな中、OBでオリックスの吉田凌君も応援に来ていたんです。「久しぶりやなあ」と声をかけたら、月曜日で休みということで応援に来たと。
後輩の活躍には「やっぱりやる気になるし、僕自身も調子いいですし、万全なので見ていて下さい」と話していて。そこで思い出したのが、吉田君が中日の小笠原君と共に、仙台育英を下して優勝した15年の夏の甲子園のことです。
僕はその試合を見に行っていて、帰りに甲子園の前の高架下で声をかけられたんです。誰かなと思ったら、仙台育英のOBで阪神に入る前の熊谷君と、ソフトバンクの上林君でした。2人は応援に来ていて、優勝を逃す結果にも「後輩に刺激もらったんでがんばります」と力強く話していたんです。
それから5日後のことですね。上林君がプロ初ホームランとなる、逆転満塁ホームランを打ったんですよ。ただただすごいなと。後輩から刺激をもらって、それを結果で示したわけですから。
そんな過去を、吉田君の「やる気になる」という言葉を聞いて思い出したわけです。この日のアルプスには、先輩を応援する後輩もいれば、6年前に甲子園で戦い、後輩に刺激をもらうプロ野球選手もいて。改めて高校野球の力、つながり、受け継がれるものや、周りに及ぼす影響力を感じましたね。