“普通の44歳”が神宮で躍動 元プロ、元甲子園球児も真剣勝負の草野球日本一決定戦

 11月24日に明治神宮球場で「MLBドリームカップ2018」の全国決勝トーナメントが行われた。MLBドリームカップ?知らない方も多いだろう。実は今年で4回目になる軟式野球日本一決定戦、つまり草野球の最高峰の大会なのである。

 北は北海道から南は九州・沖縄まで全国およそ1000チームから勝ち上がってきた4チーム。神出設計ecoaハウス(北海道地区代表)、クーニンズ(関東地区代表)、SAMURAI(関西地区代表)、GOD(中国、四国地区代表)が熱戦を繰り広げた。

 草野球とはいえ、皆がメジャーリーグのユニホームを身にまとい、スタジアムMCもメジャーさながらの選手紹介。試合解説も元メジャーリーガーの岡島秀樹氏、ゲスト解説で岩村明憲氏、マック鈴木氏を起用するこだわり。優勝すればチャンピオンリングまで頂けるというのだからアッパレだ。

 ここまで来ると出場メンバーもすごい。福知山商(現・福知山成美)や明徳義塾、智弁和歌山で甲子園に出場していたり、甲子園でダルビッシュ投手から二塁打を打った選手もいた。2006年夏、早実との決勝で斎藤佑樹投手からホームランを放った駒大苫小牧・三木悠也選手など高校野球ファンにはたまらない顔や、元プロ野球選手なんかもちらほらいたりする。

 そんな中、僕をくぎ付けにしたのがSAMURAIの上位打線だ。1番・衣川幸児選手、2番・能忍選手は元プロ野球選手でも甲子園球児でもない。共になんと44歳の中年のオジサンである。しかも、6番・衣川寿稀也選手のお父さんでもあり、親子でスタメン出場なんてケン・グリフィー親子か!とツッコミたくなる。

 しかし、この2人がすごいのだ。準決勝で衣川選手が2打席連続のデッドボールをくらうも元気に一塁へ向かい、果敢にスチールを成功させる。まさに鉄人・衣川である。すると2番・能選手はチームの監督という事もあり、サインを出しながらバッターボックスに入る。選球眼もよく、状況を見ながら叩きつけて軟式野球特有の進塁打を放つ。このスポーツを隅から隅まで熟知した2人は最強の1、2番コンビだ。

 決勝は神出設計ecoaハウス-SAMURAIの戦いとなった。相手投手は元巨人・西村優希投手。しかし、44歳コンビは相手が誰であろうと躍動する。衣川選手が四球で出るなり、盗塁し、能選手がランナーを進め、2人で球数を投げさせる。甲子園出場や元プロ野球選手のような輝かしい成績なんかなくとも2人には人生経験というとてつもない武器があった。

 試合は延長タイブレークの末、神出設計ecoaハウスの日本一で幕を閉じたが、岡島氏にして「尊敬しかない」と言わしめた。

 球歴や年齢なんて関係ない、大好きな野球と真摯に向き合った2人のオジサンの背中から芸人の僕もたくさんの事を学ばせてもらった。来年も中年の星が神宮に帰って来ることを期待しながら。

  ◇  ◇

 かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路島出身。龍谷大卒。血液型A型。身長170cm、体重50kg。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。

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