U18日本、悲願世界一へ残った課題…四球、暴投など「あげる点」のリスク減を

 10日に閉幕した野球のU-18ワールドカップ(カナダ・サンダーベイ)。高校日本代表は決勝進出を逃し、3位にとどまった。過去2大会は強固な投手陣を中心としたディフェンス力を背景に準優勝したが、今大会は四球やミスが絡んだ失点が増加。攻撃陣の木製バットへの対応を含め、悲願の初優勝を勝ち取るために残った課題を検証した。

 何度も同じ光景が見られた。慎重を期した末に四球で走者を出し、暴投が失点につながる。日本の投手がマウンドにいる時間は長く、相手投手がいる時間は短かった。

 2次リーグに進んだ上位6カ国の成績を見ると、理由は明白だ。日本の与四死球は80イニング(回)で52個。カナダ(79回で58個)に次いで2番目の多さ。優勝した米国は77回で31個、準優勝の韓国は79回で34個、1試合少ない豪州とキューバは20個台。日本の数は1・5倍超だった。

 米国戦では3投手が計23奪三振。田浦のチェンジアップに代表されるように、日本の変化球は威力を発揮した。一方で、直球中心にカウントを稼いでいく配球はまれ。ボール先行が多く、守りのリズムを作る、テンポのよい投球は影を潜めた。

 変化球中心の配球は、体格のいい外国人打者のパワーを警戒したため。直球系のボールでは、なかなかストライクゾーンで勝負できなかった。「そこは反省点でもある」と投手担当の東コーチ。リリーフの清水も「一発があるというのが頭にあった。でも日本はホームランは1本しか打たれていない。長打も少ない。ゾーンで勝負していたら、というのはある」と振り返った。

 変化球が増えればワンバウンドも増える。米国戦では振り逃げの走者がバッテリーミスで生還。ノーヒットで3点目を失った。2次リーグのカナダ戦でも、暴投と振り逃げで逆転を許して敗れた。ここでは土質の硬さも、日本に不利に働いた。大藤ヘッドコーチは「前に落としても、日本では転がらないボールが遠くに転がる。捕手は大変。バッテリーを組む投手の変化球も初めて見るわけだし」と説明した。

 慎重な配球で球数が増えたことは、大会終盤に響いた。救援で大活躍した田浦が決勝進出をかけた韓国戦に先発したが、二回途中5失点で降板。疲労は明らかで、2次リーグからの総動員態勢が大一番で裏目に出た。東コーチは「海外で勝つにはどれだけゼロに抑えるか。先発、中継ぎ、抑えを確立しないと勝てない」と話した。

 また、2次リーグのカナダ戦では、敗れても決勝進出の可能性が残る詳細を、チームの大多数が把握していなかった。国際大会の規定は複雑。得失点率の関係で、大敗以外は次の韓国戦に臨む状況は変わらない一戦に先発陣3人をつぎ込んだことも、韓国戦の投手起用に影響した。

 小枝監督は大会を通じ「取られる点は仕方ない。あげる点をいかに少なくするか」と繰り返していた。結果的には、四球やミスが絡んだ「あげる点」が勝負どころで出たことが、日本の命運を分けた。

 (1)ストライクゾーンで勝負できる直球系のボールを磨き(2)四球や暴投など「あげる点」のリスクを減らす。

 今大会で突きつけられた課題を克服できた時、初の世界一も大きく近づいてくる。

編集者のオススメ記事

高校野球特集最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス