山下智茂氏×報徳学園“新旧監督”対談【5】永田氏「第2ステージをじっくり考える」

 星稜総監督の山下智茂氏(72)が全国の指導者を巡り次世代の高校野球を考える企画。今年のセンバツを最後に勇退した報徳学園の永田裕治前監督(53)と、教え子で部長から新監督に就任した大角健二監督(36)を山下氏が訪ねた。伝統を引き継ぐ者と受け継ぐ者。2人の指導者の思いを5回にわたってお届けする。

  ◇  ◇

 -生徒たちの日常生活はプレーと関係している。

 大角健二監督「それが今の葛藤なんです。この子たちは野球をやりに報徳に来ている。野球がうまくなるためには、こんなあいさつが必要だと、野球を前に出す方が生徒たちは聞くのか、あいさつは社会に出て大切だという方で行くのか、野球を前に出した方がこの子らはきちんと聞くのかと思うんですが、最終的には社会に出てからが大事。どう話をすれば習慣づくかと」

 山下智茂氏(以下、山下)「常に結びついているんじゃないかな。大学の時にうちに勉強しに来たのは5日ほどだった?その時はあまりしゃべらないイメージだったけど、芯が強いんだなって思っていた。今とは全然顔が違うね。永田監督の横で勉強させてもらったおかげで人間的に成長した。そわそわするところがない。いい監督になると思うよ」

 -永田前監督は大阪桐蔭や履正社など関西の強豪と、どう戦ってきたのか。

 永田裕治前監督(以下、永田)「うちはタレント集団ではない。環境も部のあり方も違う。でも、試合に出れば一緒。できる範囲でやるしかない。渡辺(元智・横浜前監督)さんが、センバツ準決勝の履正社戦を『大砲とピストルだった』と言われたけど(笑)。勝つためにつないで1チャンス。本当は打たせて点を取りたいけど、ノーヒットで1点を取るには足を絡めてバントやエンドラン。それで(失敗しても)配球が変わってくる。そういうやり方です。でも、基本は(監督として初めて甲子園に出た)阪神・淡路大震災の年。あの時、野球を心から楽しんでいた選手の笑顔が、その後もずっと基本でした」

 山下「まだ若い。これからは?」

 永田「監督になった時はこんなに長くやると思ってなかったんです。だから50歳から55歳の間と考えた。第1ステージは終了するけど第2ステージをじっくり考えてみます。ここに残るのも一つ。違った形で野球界に貢献するのも一つです」

 山下「やはり野球界に恩返ししないといけないよ。僕が尾藤公さん(元箕島監督)に甲子園塾を手伝えって言われた時のように。でも、永田さんは、報徳のユニホーム以外は考えづらいな」

 永田「こう決めたのは自分です。今がバトンをつなぐにはちょうどいい。自分の生き方を通させてもらいました。嫁さんに(今後のことは)じっくり考えて相談すると言うと、あなたに『相談』という文字はありません、また『報告』してくださいって(苦笑)。申し訳ありませんと言うしかなかったです」=終わり=

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