【球数制限を考える4】経験者は語る-限度を知ることが重要

 「高校野球 焦点・球数制限を考える・4」

 高校時代に最も登板が多かった現役プロ野球選手と言っていいかもしれない。1998年、決して強豪ではなかった関大第一の快進撃を引っ張ったDeNA・久保康友投手(35)。1人でチームの想いを背負いながら、大きな故障も無く今もプロで投げ続ける右腕。その秘けつを聞いた。

 横浜が春夏連覇を達成した98年の甲子園。その年、関大第一のエースとしてチームを引っ張ったのが久保だった。春準優勝、夏ベスト8-。全試合に先発し、ほぼ1人で投げ抜いた。あれから19年がたった今、当時をこう振り返る。

 「肩肘の痛みとかはなかったけど、かなりバテていた。夏に関してはあの炎天下やったし、だいぶ頭がボーッとしていた」

 夏の北大阪大会でも獅子奮迅の活躍を見せ、高校生活最後の試合となった準々決勝・明徳義塾戦では、大量失点しながらも続投を尾崎監督へ直訴。どの球児にも共通する“燃え尽きたい思い”。クレバーと称賛される右腕にもあった。

 「負けたら最後の大会やったし、ここまでやられたのも俺の責任。自分が打たれたこともあったし、最後まで投げないといけない責任があった。何人も投手がいるわけではなかったし、自分1人しかいなかったから」

 関大第一は決して強豪ではなく、設備が特別整っている環境でもなかった。しかし、そこで成長できたことが、その後の野球人生につながったと言いきる。

 「球数制限なんてないし、最先端のトレーニングをやったわけでもない。その中で『自分に何が必要か』を考えないといけなかった。高校時代の環境は最もプロになりにくい環境だったと思う。でもプロになってしまえば、こんなに強いことはない。自分で自分を感じることができるから。例えばこれ以上、投げたら体が危ないとか。もっと練習をやれるとかね」

 投げ込みが悪と言われる時代。久保は球数を制限することではなく、選手自身が感性を磨き、限度を知ることが最も重要だと語る。

 「疲労のサインというのは必ず、あるから。それを『与えられたメニューをただこなす』『言われたことをやる』では感じることはできないと思う。100球投げても壊れない選手だっているし、100球未満で壊れる選手もいる。じゃあ自分がどのタイプなのか。そこを知らないといけない。ただ言えることは練習をしないと絶対にうまくはならない」

 (続けて)

 「もちろん練習をし過ぎるとケガのリスクがある。ただその線引きに関しては他人がやることではない。少ない球数でも技術レベルを上げられるのか、投げ込まないとレベルアップできないのか。それは人によって違う。だからこれと言ったマニュアルは絶対に必要はないと思う」

 高校時代の奮闘からプロへ-。今も活躍を続ける右腕の練習法、そして高校球児へのメッセージは次回、掲載します。(続く)

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