【球数制限を考える2】大事なのはメリハリ 大人が見極めてあげて

 「高校野球 焦点・球数制限を考える・2」

 都道府県を核とする新たな肩肘検診システムの導入に続いて、どのような取り組みが進められるべきか。高校野球の面白さを保ち、強い選手を作りながら、成長期の選手の障害予防にはどのような対策ができるか。さまざまな議論が現在、高校野球ファンの間などで沸き起こっている。選手の強化と故障防止は相反する要素だが、日本高野連の越智隆弘副会長は医療的な分野からこう提言する。

 「一番大事なのはメリハリです。メニューに関して言えば肩肘を強化するためには投げ込み、走り込みが重要なんです。機械を用いたトレーニングである一部分を強化するやり方というのは、成長期の高校生には向いていない。例えば1日に20球しか投球練習をしない子がいれば、試合で故障しやすい子どもができてしまうと思います。強い足腰、肩肘を持つ子の方が上のステージに行った際、伸び幅が違っています」

 そこで重要となるのが休養日の設定だ。

 「投球数の多い日を入れながら、必ず休養日を作る。連戦連投になった場合は球数を見て制限することも必要になってくるでしょうが、限度というのは個人で違います。球数に対して神経質になるのではなく、そこを大人がきちんと見極めてあげることが大事だと思います」

 (続けて)

 「これは指導者の方にお願いしたいのですが、生涯スポーツという考え方で子供の才能を目いっぱい、開花させて欲しい。より高いレベルに到達させてほしいという思いがあります。野球少年の才能を開花させるためには、投げ込み、走り込みをメリハリつけてやった上で、痛みが生じた場合にはそれを気兼ねなく言える雰囲気を作ってもらう。故障が疑われる時にはドクターとの連携、そしてチェック法があります」

 そのチェック法とは、どこの高校の球児であっても、朝、自宅を出る前などにできるものだ。

 「私がタイガースのチームドクターを務めていた際、トレーニングコーチにお願いしてやってもらっていたんですが、1キロの鉄アレイを利き腕で持ってもらって、肘を伸ばして水平方向への上げ方を見る。強い張りがあれば上げづらいとか、必ず変化が出るんですね。それは自宅でもできることですから、両親がチェックしてあげてもいい。ただ画一的に投げなければいいというのはおかしい。しっかりとメリハリをつけて、球児の才能を大きく開花させてほしいと考えています」

 ※明日は新潟県が独自で取り組む球児の傷害予防について迫ります。

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