広島・中村奨プロ初決勝弾! 逆転弾で3連勝導いた 新井監督ニンマリ「中村砲が出ましたね」
「広島2-1ヤクルト」(2日、マツダスタジアム)
夏に強いんじゃ!広島の中村奨成外野手(26)がプロ初の決勝弾を放ち、1分けを挟んだ3連勝に導いた。1点を追う三回1死二塁で、自己最多を更新する3号逆転2ラン。新井貴浩監督(48)は「中村砲が出ましたね」と価値あるアーチを絶賛した。首位・阪神との4ゲーム差は代わらなかったが、必死に虎を追いかけていく。
高い湿度の影響で球場内に発生していた霧を、鋭い打球が切り裂いた。中村奨が右拳を突き上げながらダイヤモンドを回る。「打った瞬間、入ると思いました」と振り返る完璧な一撃。チームにとってはもちろん、自身にとっても価値あるアーチをかけた。
覚悟を持ってスイングを仕掛けた。1点を追う三回だ。先頭の菊池が中前打で出塁し、大瀬良の犠打で1死二塁。首脳陣から「真っすぐいくんかスライダーいくんか、腹を決めていけ」と助言を受けた。
「打席に入るまでいろいろ考えた」と中村奨。勝負は1球だった。奥川の初球のスライダーをフルスイングすると、打球は一直線で左翼スタンドへ。「思い切ってヤマと張っていきました」と狙い取りの一振りで試合を決めた。
夏に強い男だ。広陵3年時の17年夏の甲子園では、大会記録となる6本塁打を放ち、準優勝に貢献。奥川も19年の夏に星稜のエースとしてチームを準優勝に導いた。かつて甲子園を沸かせたスター同士の対戦。「(奥川と)面識もないので、あまり意識はしていません」と話すにとどめたが、野球ファンとしてはたまらない対決を堂々と制した。
相手先発が右投手でのスタメン出場は、5月15日・巨人戦(マツダ)以来。直近は中堅の定位置を争う大盛に活躍の場を譲っていたが、「スタメンで出る出ない関係なく、いつでも試合に出る準備はしている」と虎視眈々(たんたん)とアピール機会を狙っていた。
この日も気温30度を超える中、早出特打を行い大粒の汗を流していた。「右投手だから大盛さん(がスタメン)だとは思っていない。悔しい思いもありますけど、もう一回奪ってやるという強い気持ちは持ってます」。熾烈(しれつ)な争いの中でつかんだチャンス。これ以上ない結果で意地を示した。
新井監督は逆転弾について問われると、「中村砲が出ましたね」とにやり。「今年はキャンプの時とから目の色が違う。練習に取り組む姿勢もそうだし、今年にかける気持ちっていうのがすごく強い」と野球に対する姿勢の変化を認め、賛辞の言葉を並べた。
チームは3試合連続の2-1で3連勝。4連勝の首位・阪神に4ゲーム差だ。「甘い球を一発で仕留めないと、結果は残らないと何年も痛感している。ああいう打席を今後も増やしていきたい」。気温の上昇とともにさらにアツくなる中村奨のバットで、優勝争いに食らいつく。





