広島・新井監督 21度目の護摩行「昨年の悔しさを持って火と対峙した」 昨年9月大失速V逸「忘れていない」

 広島・新井貴浩監督(47)が18日、和歌山県高野町の高野山清浄心院で恒例の護摩行を実施した。現役時代の2004年12月に始めてから今回で21度目となり、大失速した昨年9月の思いを胸に刻みながら、激しく燃える炎と向き合った約2時間。忘れることのない悔しさを護摩行の炎のように燃やし続け、7年ぶりのリーグ優勝へと突き進んでいく。

 額を伝う汗の量が一段と多くなるにつれ、表情もゆがんだ。至近距離で迫ってくる火柱の痛みに耐えようと、何度もまばたきを繰り返す。約2時間、燃えさかる炎と向き合った新井監督の袈裟(けさ)は、びっしょりとぬれていた。「何年続けさせてもらっても、苦しくて厳しいのは変わらない」。顔と首に残った水ぶくれの痕が、過酷さを物語っていた。

 炎は摂氏400度を超え、高さ3メートルにまで達する。全身のしびれに耐えながら熱波に挑んだ思いを「昨年の悔しさを持って護摩行の火と対峙(たいじ)した」と明かす。昨年は首位で9月を迎えるも、リーグワーストに並ぶ月間20敗(5勝)。優勝どころか、CS進出も逃した苦戦の日々は今なお脳裏にこびりついている。

 「年を越したから切り替えて、というものじゃない。去年の悔しさは俺も忘れていない。もちろん選手も誰一人、忘れていないと思うし。昨年の悔しさを忘れず、護摩行の炎のように燃やし続けて、優勝を目指してがんばりたい」と指揮官。忘れ去りたい1カ月から目を背けず、むしろ今季へのエネルギーに変換していく姿勢を強調した。

 心の内に秘める悔しさは、自分自身に対するものだという。「選手に対してや、どこかの(試合の)シーンじゃなく自分に対する悔しさ、腹立たしさだね」。厳しい精神鍛錬に身を置いて自問自答を繰り返し、2週間後に迎えるキャンプインに向けて、心のスイッチを入れた。

 約1800本の護摩木をくべた池口恵観大僧正(88)は昨年同様、唱えるお経の中に「広島優勝、心願成就」という文言を護摩行の中盤から加えて、カープのVを祈念した。「私は数えで90歳になります。『今年から100歳まで頑張るから、あなたも頑張れ』と。今年は、どうしても優勝していただきたい。きょうから(シーズンが)終わるまで毎日毎日、護摩をたいて『広島優勝、心願成就』をやります」とエールを送り続けることを約束した。

 新井監督はその言葉に感謝し「今年は、もっともっと気合を入れていきなさいという言葉をいただいた。全力でがんばりたい」と誓いを立てた。苦い過去の記憶を反すうしながら、全身全霊をかけてチームを束ねる。

 ◆新井監督、就任後の護摩行

 23年1月19日 監督就任後初の護摩行。2メートル近く燃えさかる火柱の前で約1時間40分に及んだ荒行。「広島優勝 心願成就」の言葉を繰り返し叫び続けた。

 24年1月18日 高さ3メートル近い火柱を前に約90分間読経を繰り返す。「優勝して日本一になるのは当然の目標。選手がなるべくケガをしないよう」と祈念。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス