広島・ドラ3中村健人 「幸せ」プロ1号 首位復帰ならずドローも初猛打ショー

 5回、同点2ランを放ち三塁を回る中村健(撮影・立川洋一郎)
 5回、同点2ランを放って生還しベンチ前で一走・小園(51)とタッチを交わす
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 「広島5-5ヤクルト」(15日、マツダスタジアム)

 広島は延長十二回引き分けで、首位返り咲きはならなかった。それでも存在感を示したのはドラフト3位・中村健人外野手(24)=トヨタ自動車。五回にプロ初本塁打となる2ランを放ち、同初の3安打をマーク。ここまで3本塁打の同期入団・末包と並び、新人2選手がプロ初本塁打を記録するのは、球団では日本一に輝いた1984年以来、38年ぶりとなった。

 振り抜いた打球が、青空を舞った。球場全体が視線を向けた白球は、右翼スタンドギリギリに着弾。わずかに生まれた静寂が、どよめきと喜びに変わる。中村健は本塁を踏むと右手を強く握り、声を上げながらガッツポーズ。「マツダで打てたことがこんなに幸せなんだなと。かみ締めながら、ベースランニングできた」とプロ初本塁打を振り返った。

 2点を追う五回無死一塁。フルカウントから外角変化球を捉えた。右翼方向への飛球は失速せず、スタンドへと吸い込まれた。低めの変化球を意識しつつ、浮いた球を逃さなかった同点2ランに「いいスイングが(球に)入ったかな。すごくうれしかったですね」。節目のアーチは試合を振り出しに戻しただけでなく、本拠地に興奮を呼ぶ一打となった。

 相手先発は通算179勝を誇る石川。ベテラン左腕から三回は先頭で左翼線二塁打を放ち、チーム初安打を記録した。「大投手ですので、打てたことはいいけど、まだまだ先は長いので」と慢心はない。延長十二回は1死一塁から左前へポテンヒット。プロ入り初の3安打猛打賞に8試合連続出塁と、日を追うごとに存在価値を高めている。

 サヨナラ勝ちには結びつかなかったが、延長十回は2死二、三塁で慶大時代の後輩・木沢から四球を選んだ。「彼も強気に全部内角だった。また対戦したい」と笑顔。その大学時代はドラフトで指名漏れを経験。当時の思いを糧にしてきた。

 郡司(中日)、柳町(ソフトバンク)らが先にプロ入り。「プロに行った同期(の活躍)も目にした。それがエネルギーでした」。悔しさを力に変え、強い気持ちで己を鍛える日々を積み上げたからこそ、今がある。

 試合は引き分けに終わったが、佐々岡監督は「逆方向への一発。初本塁打だし自信にしてほしい」と背中を押した。試合後、手元に戻ってきた記念球は実家に送る予定。「勝利に近づくため、確率を上げられるようにするだけ。そこに尽きるかなと思います」と表情を引き締めた中村健。鯉の未来を担う若武者が、チームに欠かせぬ存在となっていく。

 ◆広島のルーキー複数の入団年本塁打 複数のルーキーが入団初年度に本塁打を放ったのは1984年・小早川毅彦、伊藤寿文、阿部慶二の3人以来、38年ぶり。過去の50年・樋笠一夫、紺田周三、田所重歳、荻本伊三武、黒木宗行、58年・古葉毅(竹識)、森永勝治、小坂佳隆、69年・山本浩司(浩二)、水沼四郎、83年・西田真二、堀場秀孝に続き今年で6組目。

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