快進撃を見せる広島の中で、３番に座る小園海斗内野手（２１）だけが不振。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「経験不足は仕方ないが、相手の術中にハマらないよう研究することも大事。若いが、それができる選手」と名球会投手ならではの“辛口アドバイス”を贈った。

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　今年のカープはリードしてそのまま逃げ切ることもあれば、逆転勝ちもある。先に点を取られても取り返してくれるから、投手陣は投げやすいと思っているのではないか。

　でも、その元気な打線の中で、小園だけがカヤの外という感じになっている。開幕からずっと３番を打っているが、状態はなかなか上がって来ないね。

　今の小園について見た目の印象で言うと、バットが遅れて出てきて、ポイントが少しずつずれている感じ。ボールがバットに対し、斜めに当たってファウルになっているというのかな。

　それともうひとつはボール球を振っている点。そうやってカウントを稼がれている。こうなると投手は楽ですよ。

　ボール球を振っているということは、相手投手の術中にハマっているということ。つまり“駆け引き”の段階で負けているということになる。目に見えないところだけど、この部分がまだ甘い。

　それまでの試合や前の打席で、どのコースのどういう球を、どこへ打ったか。過去の基礎データをヒントに相手は攻めてくる。これに対して小園も、相手投手の出方を研究しないといけない。

　例えば自分がヒットを打った次の打席。向こうが、どんなボールで入って来ようとしているかを読む。そして待ち球を決めて狙い打つ。さらに言えば打ち損じないこと。

　昨年の終盤、まるで打ち出の小槌のようにヒットを量産して、打率を急上昇させたのは見事だったけど、活躍すればするほど、相手チームに研究データを渡すことにもなるわけだ。

　もうひとつ忠告しておきたいのは送りバント。チームが乗っていこうとする時は、しっかり決めないと流れが悪くなるもの。プロである以上、バントもできないとね。セーフティーなど試みなくてもいいと思うよ。

　あの若さでショートのポジションを奪い、３番まで打っているのだから彼の能力は相当高い。

　物怖じしない性格でスイング自体もしっかりしている。でもここから先が肝心。いずれにしても、まずは振り込むことだろうね。

　バットを振ると言う点で凄かったのは高橋慶彦さん。私の同時期の人で一流のショートと言えばね。遠征先ではどれだけ遅くなっても、部屋から素振りの音が聞こえてきたもんですよ。

　１７日の中日戦では久しぶりに複数安打を放っていたね。でも打率はまだ１割台。

　小園は大きな可能性を秘めた選手。今後は経験を積んでいくことが必要だが、相手の研究もしながら一流を目指してほしいね。