広島2軍総括 若鯉躍進も3連覇貢献の中堅投手が軒並みファーム暮らし

 ウエスタン・リーグが全日程を終え、広島は39勝63敗3分けで4位だった。シーズン途中に1軍に昇格した高卒3年目の小園海斗内野手(21)と林晃汰内野手(20)がスタメンに定着。2年目の玉村昇悟投手(20)も先発ローテ入りを果たすなど育成面では大きな成果を残した。

 一方で、1軍経験のある投手の状態が上がらず、苦しい台所事情を強いられた1軍に選手を供給できなかったことは来季への課題だ。

 ◇ ◇

 チーム成績だけをみれば借金24で5チーム中4位。苦しい戦いを強いられた1年だったが、ファームの勝ち負けは二の次。高信二2軍監督(54)が「1軍が戦力不足にならないことを第一にやってきた」と語る通り、1軍に多くの選手を送り込めるように育成するのが2軍の主眼だ。

 野手に関してはそれが十分に機能した。開幕2軍スタートだった小園と林が1軍でレギュラーの座を奪い、高監督も「チャンスを手放すことなく勝負できた」とたたえた。高卒4年目の中村奨や同3年目の羽月も1軍でプレー。大卒3年目の正随はリーグ2位となる11本塁打を記録し、9月に昇格した。1軍にコロナ感染者や故障者が出た時にすみやかに代替要員を送り込み、その選手がしっかりと期待に応えた。

 1軍昇格はできなかったが、来季が楽しみな有望株もいる。高監督が挙げたのが高卒2年目の韮沢。2軍では74試合に出場し打率・255、プロ初アーチを含む4本塁打を記録した。内野の守備にも安定感があり「技術、形ともにいいものを持っている。この1年で体の強さも出てきた」と高い評価を与えた。育成2年目の木下も89試合に出場し、チームで唯一、規定打席に到達。打率・241でリーグ4位となり、支配下登録も見えてきた。

 投手では高卒2年目の玉村が出世頭。「(昨秋の)フェニックス・リーグからいい球を投げていた」と高監督も早くから注目し、秋季キャンプ、今春キャンプと2軍でじっくりと育て上げ、4月下旬に1軍で初登板初先発。度胸のあるマウンドさばきで先発ローテ入りを勝ち取った。来季の飛躍が期待されるのが高卒ルーキーの小林。8月までは「強化指定選手」として体力作りやフォーム固めに専念し、9月に入って実戦マウンドへ。29日のオリックス戦(オセアン舞洲)では負け投手にはなったが、8回を投げきって5安打2失点。来季は1軍登板を見据える逸材に指揮官の期待も大きい。

 若ゴイが順調に育っていく一方で、課題も見えた。1軍経験豊富な中堅クラスの投手陣が軒並み2軍暮らしを余儀なくされた。元最多勝右腕の野村は1軍と2軍を行き来し、今季は未勝利。リーグ3連覇に貢献した岡田、薮田、一岡、今村、中崎らも若手に交じって2軍調整の日々を送った。「一生懸命に頑張っている。なんとかもがいて、もう一度1軍で投げてほしい」(高2軍監督)と首脳陣も再生プランに知恵を絞ったが、芳しい結果にはつながらなかった。

 また、若手ながら1軍経験のある遠藤、アドゥワ、山口、田中らも2軍で沈んだまま。規定投球回数に到達し6勝をマーク、リーグ2位の防御率を残した中村祐も1軍で3度先発のチャンスをもらったが、ことごとく結果を残せなかった。1軍が苦しい台所事情の時に代わりの投手をファームから送り込めなかったことも1軍低迷の大きな要因。「投手陣を整備していく必要がある。コーチともしっかりと話し合っていく」と、高2軍監督も来季に向けて問題点を洗い出す考えを示した。

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