大変身の広島・床田 「カットできないほど球にキレが戻っていた」と北別府氏
8月29日の阪神戦で6回を10奪三振の無失点。5カ月ぶりに勝利を挙げた広島・床田寛樹投手について、デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「球にキレが戻った。打者がカットできないくらいタイミングを狂わせていた」と評価した。
阪神戦の投球はコースにきっちり投げ込めていたし、追い込んでから3球勝負で打ち取っていたね。ボールに指がかかる感覚があって、それが自信になったんだと思う。
6回で79球でしょう。普通なら完封ペースですよ。久しぶりということと打順の関係もあって、お役御免となったけど、いい投球内容だったね。
床田は6月3日の日本ハム戦の登板を最後に抹消されたが、その時に「(2軍で)スピードを上げてこい」と言われたみたいだね。
おそらくキレを出せという意味だろうが、しっかり結果を出せるだけのキレは感じたね。球に伸びがあり手元で速く見える、そんな球を投げられていた。
2軍での投げ込みも含め、かなり下半身を鍛えてきたんだと感じた。
球のキレさえよければ、打者を打ち取れるものだし、体を作ってしっかりしたフォームで投げれば、狙わなくてもボールはコースへ行くもの。
その結果が10個の三振だと思う。
自分の形に持ち込み、早めに追い込んで勝負に出る。そういう投球ができていたね。
2ストライクまでは追い込むが、そこから打者にファウルで粘られ、結局、四球を出してしまう投手が多い。
しかし、阪神戦の床田は違ったね。打者がカットできないぐらいタイミングを狂わせていた。これが球のキレが良さ。
打者がカットしてファウルで逃げるということは、ポイントがずれているだけで、タイミングは合っている。
でも床田は追い込んでから、直球にしろスライダーにしろ、空振りを取っていた。これはタイミングを狂わせているということなんです。
面白いのは、カット系の球やシンカーがワンバウンドしたり、高めに抜けた球を相手打者が手を出していた。
本人に、そこへ投げる意思はなかったと思うんだけどね。キレがいいとそうなる。
これはどの投手にも言えることだけど、真っすぐが走ってこそ変化球が生きる。それが緩急であってスピード差。
ボール球もストライクに見えて、スイングさせることができるんです。
良くない時の床田はそれがなく自滅していた。しかし、この長い調整期間を生かし、期待に応えるだけの内容を見せてくれた。
ナイスピッチング!次も良いピッチングができるかどうか。本人にとってもチームにとっても大変重要になるのは間違いない。