カープで始まりカープで終わった決勝 北別府氏「五輪は大きな自信になったはず」
五輪野球の決勝は広島・森下暢仁投手(23)が先発し、栗林良吏投手(25)が最後を締めて米国を完封、金メダルを手にした。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「世界に通用した、この経験は大きな自信になる」と手放しで褒め讃えた。
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決勝の米国戦を見た人たちが“カープで始まりカープで終わった”と言ってたけど、確かにその通りでしたね。先発した森下も、九回に抑えとして登板した栗林も、本当によく投げたね。
2人には素晴らしい経験になったし、世界で通用するということが分かったはず。
いずれ試合でピンチになったときは五輪のマウンドを思い出し、私も経験できなかったこの自信を背負って投げることができる。そう思うと、彼らの今後の活躍が目に浮かんでくるようだ。
森下はメキシコ戦では、さすがに緊張したのか2点を失ったが、5回をその2失点に抑えて勝ち投手になった。1回を1失点で乗り切ったことで自分のペースを取り戻したようだった。
米国戦の内容も良く、今年前半のような球筋で、甘くならず、高めへの抜け球もなく、しっかりコントロールされた球を投げることができていた。
栗林も新人なのに大したもんですよ。初戦のドミニカ戦こそ失点したけど、全5試合に投げて2勝3セーブ。外国のチームを敵に回しても、シーズン中と変わらない投球だったね。
ところで、森下と栗林の良さを引き出していた甲斐の存在も見逃せない。彼のリードで投げることができた経験は本当に大きいよね。うまく両サイドも投げ分けていましたよ。
そもそも盗塁を許さない。アメリカの選手は、塁上の走者のリードも小さかったし、最初から走る気がなかったように見えたけどね。甲斐の情報は世界に轟いていたんだね。
日本人はクイックがうまいし、甲斐の強肩もおそらく情報として他国の耳に入っていたんでしょう。
投手の立場からすると、足を絡めてこないというだけでも楽になるもの。これは大きいね。
打者も“ここぞ”という場面で点を取っていたし、鉄壁の守りで接戦をモノにしていったけど、私としてはまずバッテリーを褒めてあげたい。
先発-中継ぎ-抑えと、それぞれがいい仕事をして最少失点にとどめることができていたのだから。
鈴木誠也が決勝の米国戦で2安打して復調気配を見せていた。センターとライトへのヒット。このように軽く打たれるのは、長打でなくても投手には嫌なもの。あの感覚を忘れず後半戦に活かしてほしいね。
菊池涼介も含めて、みんなご苦労さま。金メダル獲得は本当に凄いこと。心から祝福したいと思う。
少しの間だけど体を休めて、また新たな気持ちで13日から再開するペナントレースに臨んでほしい。