侍・栗林が金締めた まさに守護神!全5試合登板2勝3S!
「東京五輪・野球・決勝、日本2-0米国」(7日、横浜スタジアム)
日本が米国を下し正式競技となってからは初の金メダルに輝いた。
両手を大きく広げ、栗林は甲斐と思い切り抱き合った。何度も右手を突き上げ、仲間と体をぶつけ合いながら喜びを分かち合う。歓喜の輪の中心にいたのは、頼れる守護神。「1年延期されなければ出られなかった大会。結果で恩返しするしかないと思っていた」とルーキーの笑顔がマウンドであふれた。
大一番でも安定感は抜群だった。2-0の九回から登板し、先頭・ウエストブルックを空振り三振。グラブを叩いて闘志を前面に押し出し、続くコロズバリを左飛。アレンには右前打を許したが、最後はロペスを二ゴロに料理。金メダルという名のゴールへナインを導き、栄えある胴上げ投手になった。
決勝戦前日には、胴上げ投手のイメージを膨らませた。「投げるからには最後そういう輪にいられることが抑えの『やりがい』だと思う」。仲間の思いを乗せて、日本中の期待を背負って腕を振り抜いた国際大会。初の五輪は5試合連続登板で、2勝3セーブと全勝利に貢献。背番号20の奮闘なくして、悲願の金メダル奪取は実現できなかった。
愛知黎明高2年だった2013年は、夏の県大会で愛工大名電に敗れて準優勝。あと一歩で甲子園出場を逃した。その時にもらった銀メダルは中学時代の恩師である藤華クラブの有野総監督に渡し、こう伝えた。
「来年は甲子園に行くので、もらってください」
聖地に届かなかった悔しさを糧にして鍛錬を積んだ。だが、翌年の愛知大会は5回戦で惜敗。8年の歳月を経て、最も光る色のメダルを手にすることができた。渇望し続けた最高の勲章を自身の投球でたぐり寄せた。
チームを救い、何度も修羅場をくぐり抜けてきた日本の守護神。夢舞台で放ったまばゆい輝きは、いつまでも色あせない。