侍・栗林 魂の4戦連続登板 中継ぎ侍の気迫0封リレー締めた!
「東京五輪・野球・準決勝、日本5-2韓国」(4日、横浜スタジアム)
決勝トーナメント準決勝が行われ、日本は韓国との激戦を制して決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた。
最後のアウトを奪うと、広島・栗林は思い切りグラブを叩いて喜びを表現した。つながれたバトンにチーム全員の思いを感じ、全力で腕を振った。極限まで高めた集中力は、最後まで途切れない。初戦から全試合登板となる4試合連続登板で、熱戦に終止符を打った。
八回に味方が3点を勝ち越した直後の九回から登板。「3点取ってもらったので、心にも余裕ができました。3点というのは大きかったと思います」。先頭・呉智煥に四球を与え、続く許敬民への初球が暴投となり無死二塁のピンチを迎えた。それでも動じない。
焦る気持ちを抑えようと、遊撃から坂本が、女房役の甲斐が声を掛けてくれた。「みんなのおかげで、落ち着いて投げることができた」。許敬民をフォークで三ゴロに仕留め、代打・朴健祐はフォークで空振り三振。2死までこぎつけ、最後は朴海旻を二ゴロに打ち取った。カウント2-2からの5球目、最後もフォークだった。
周囲への感謝を忘れないのが、栗林の原点でもある。世間がコロナ禍に見舞われるプロ入り前には、中学時代に在籍していた藤華クラブに年2、3回、足を運んでいた。そこでは生徒たちと一緒に練習し、ノックも打つなど精力的に汗を流すという。
それに加え、同クラブの有野伸一総監督が感心するのは、右腕の心遣い。「今のメンバーは41人。その大半の子の名前を覚えてくれていて。子どもたちも、うれしいと思います」と笑みを浮かべる。人への気配り、感謝。誠実な人柄は、プロに入っても変わらない。
悲願の金メダルまであと1勝。「自分も金メダルを取りたいと思ってここに来ているので。あと1勝、自分の力を出せる限り出せればいいかなと思います」。たくましい守護神が、決勝戦でも堂々とマウンドに君臨する。