広島・林 バックスクリーン一直線の4号2ラン「しっかり振り抜くことができた」
「広島5-3DeNA」(8日、マツダスタジアム)
広島が逆転勝ちを収めた。3-3の八回2死二塁で代打・長野が決勝の左越え2ランを放ち、試合を決めた。0-3の二回1死一塁には、林晃汰内野手(20)が豪快なアーチを架けた。上茶谷の変化球を一閃(いっせん)。バックスクリーンへ、本拠地では2本目の本塁打となる4号2ランを放り込んだ。打撃力を買われ、三塁手としてスタメン出場が続く若鯉。持ち味のパワーを見せつけた一発だった。
乾いた打球音を残しながら、打球がグングンと伸びていく。中堅手・桑原はその行方を目で追うことしかできなかった。林がバックスクリーンに会心のアーチを描く。4号2ランは、本拠地2本目の本塁打だ。
「中堅方向を意識して打席に入って、良いポイントでしっかり振り抜くことができた」
0-3の二回1死一塁。上茶谷の高めに浮いた変化球を振り抜いた。相手バッテリーは長打警戒の場面で外角球中心の配球だったが、失投を力でねじ伏せた。
反撃ののろしだった。直前の守備で、高橋昂が桑原に先制3ランを被弾していた。「取られたあとの回。すぐに取り返すことができて良かった」。ナインの士気を高め、鯉党を笑顔に変える打撃。長距離砲だからこその存在感を示してみせた。
「持ち味は長打力。一打で球場の雰囲気を変えられるような選手になりたい」。18年、入団会見を終えた翌日。本拠地に初めて足を踏み入れたときに語った誓いだ。その言葉を体現するような見事な一振りだった。
チーム内で新型コロナウイルスの感染者が相次ぐ中、5月18日に初めて1軍に昇格し、プロ初本塁打や打点を記録した。1軍の壁にぶつかりながらも、前を向き続けてきた林。力強い打撃で三塁のスタメンの座に定着している。
打席では腰をどっしりと落として構える。そこから投手にギリギリまで胸を向けないように意識してバットを振る。思い描くのは「シンプル」な打撃だ。
昨季までは構え方などを試行錯誤したものの、思うような打撃はできなかった。今春のキャンプ時よりグリップの位置が低くなったのも、自然とバットを出すためだ。
三塁の守備では懸命に打球に飛びつく。走塁では、気迫を押し出して一塁へヘッドスライディングしたこともある。泥くさく、ひたむきに一球に集中する姿が印象的だ。
「必死にやることは変わりない。その中で自分の良いものを出していきたい」と力を込める若鯉。次世代を担う20歳のスラッガーが描く成長曲線は無限大だ。