広島・大盛 延長十回、魂のVヘッド打!堂林は森下の負け消す同点弾!今季初の延長星
「ヤクルト2-3広島」(19日、神宮球場)
広島が逆転勝ち。今季初めて延長戦を制した。勝負の流れを引き寄せたのは堂林翔太内野手(29)だ。1点を追う八回、自己最多に王手をかける13号ソロを放って同点。延長十回には右前打で出塁し、大盛穂外野手(24)の適時内野安打で決勝のホームを踏んだ。
無我夢中だった。石山の頭上を越え、山田哲の前に転がった打球に、大盛が歯を食いしばって走った。一塁へは頭から滑り込んだ。土煙が上がったと同時に、一塁塁審の手が広がる。ユニホームを泥だらけにして、執念でもぎ取った決勝点だ。
「その前のチャンスで空振りをしていた。何が何でも、という気持ちで打席に入った。打った瞬間に全力で走ろうという気持ちだった。ヘッドスライディング?気が付いたらしていました」
2-2の延長十回2死二、三塁で出番が来た。大きく深呼吸して打席に入る。2球連続でフォークに空振りした。空振り三振が脳裏をよぎるものの、最後は高めに浮いたフォークに食らいついた。
堂林の左越えソロで2-2として迎えた八回1死一、三塁では、清水のフォークに空振り三振に倒れていた。再び巡ってきた好機でも、ベンチは代打を送らず。泥臭い決勝打に佐々岡監督は「らしい、取り方だった。それまで3三振。ワンバウンドするフォークを振っていて、迷いがある中で、最後は食らいついてくれた」と目尻を下げた。
逆転勝利への道を切り開いたのは堂林だ。延長十回1死からは、右前打で勝ち越し劇をお膳立て。1-2の八回には、同点とする左越え13号ソロを放っていた。
「前の打席で凡退をしていたので、何とか取り返したかった。良い反応で捉えることができた」。先制点を奪って迎えた初回2死満塁で遊ゴロに倒れるなど、それまでの3打席は快音なし。悔しさを胸に秘めて臨み、最高の結果を出した。
本塁打は8月27日のDeNA戦以来だ。日々我慢強く取り組む姿勢が、確実な成長を促している。9月13日に打率が3割を切ったものの踏みとどまる。この日は2安打で・297とした。自己最多の14本塁打まであと1本に迫った。
劣勢に立たされて諦めない姿勢を貫いた戦い。若手、中堅、ベテランとナインが一体となってつかみとった価値ある1勝だ。