最下位転落の広島に希望の光 今季初登板の野村が6回1失点「これからです」

 阪神と引き分け、佐々岡監督(右)とエアタッチを交わす
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 「阪神3-3広島」(22日、甲子園球場)

 大黒柱が帰ってきた。今季初登板の広島・野村祐輔投手(31)が先発で6回を5安打1失点と好投した。春季キャンプ序盤に右ふくらはぎを痛め、今季はプロ9年目で初めて2軍で開幕を迎えた。悔しさをぶつけた103球で貫禄の投球を披露した。試合は救援陣が打たれて引き分け、最下位に転落したが、通算71勝右腕の1軍復帰はチームにとって明るい材料だ。

 長く鯉投の屋台骨を支えてきた男がついに戻ってきた。雨が降りしきる中、野村は久々のマウンドをかみしめながらクールな表情で黙々と腕を振った。「最少失点でゲームをつくることができたと思います。特別良かった球はなかったが、要所要所で決まってくれた球もあった」。5連勝中で勢いに乗る阪神打線に対し、6回を5安打1失点とさすがの貫禄を示した。

 1-0の三回、先頭の糸井に右翼線への二塁打を許すと1死三塁からサンズにツーシームを捉えられ、右中間へ適時二塁打を浴びた。同点に追いつかれたが「1失点で止められたのが大きかった」と言うように、その後は持ち味である安定した制球力を発揮した。

 テンポのいい投球で四回以降は無失点に抑えた。変化球でしっかりと内外を突き、伝家の宝刀のスライダーも低めに集めた。丁寧な投球で凡打の山を築いた。佐々岡監督は「6回投げ切って、最少失点で抑えて仕事をしてくれた。次につながる投球だった」と評価した。

 長い道のりだった。開幕から約1カ月遅れで今季初登板を迎えた。春季キャンプ序盤で右ふくらはぎを痛め、早々と離脱を余儀なくされた。地道なリハビリを行い、3月には実戦復帰。順調な回復を見せていたが、開幕には間に合わず、プロ9年目で初の開幕2軍となった。

 当然、悔しさを味わった。それでも下を向くことなく、遅れを取り戻そうと努力を重ねた。自粛期間中の1勤1休体制時には、実戦感覚を早く取り戻そうと“無休”でブルペン入り。延期された開幕までの時間を有効に使いながら早期1軍復帰へ、強い覚悟をにじませながら着々と準備を進めてきた。

 勝ち星は得られなかったが、復帰初戦で内容のある投球を示した。チームは課題の救援陣が打ち込まれ、延長戦の末に引き分けて最下位に転落。投手陣全体が打ち込まれている苦しい状況の中、通算71勝の実績と信頼のある背番号19の1軍復帰は明るい材料になったことは確かだ。

 「これからです。まだまだ」。次は今季初勝利を誓った右腕が先発ローテの柱となってチームを浮上させる。

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