広島・高橋樹、開幕1軍で故郷に勇姿届ける 花巻市出身、あれから9年…決意新たに

 「オープン戦、DeNA7-1広島」(11日、横浜スタジアム)

 広島の高橋樹也投手(22)が11日、初の開幕1軍へ猛アピールした。岩手県花巻市出身の左腕は2011年3月11日に東日本大震災を経験。あれから9年、この日は2番手でマウンドに上がり、DeNAの強力クリーンアップを三者凡退に封じた。故郷東北へ勇姿を届けるため、左の中継ぎとして開幕1軍入りを目指していく。

 あの日から9年の月日が流れても、決して記憶が色あせることはない。試合前には両軍がベンチ前で黙とうをささげた。シーズンを見据えた調整の場であるオープン戦だが、高橋樹にとっては特別な一日だった。

 震災当時は中学1年生。学校で揺れを経験した。「津波はなかったけど、いろいろ大変だった。忘れられない出来事」と当時を振り返る。花巻市の実家では物が壊れ、進学した花巻東高では、震災で両親を亡くした同級生もいたという。

 平穏な日々が一瞬にして崩れる現実に直面した過去がある。だからこそ、真剣なまなざしで実感を込める。「野球ができることに感謝して、頑張りたいと思います」。決して当たり前ではない毎日をかみしめながら、決意を新たにした。

 この日は2番手で四回からマウンドに上がった。オープン戦で打率・360、4本塁打と好調の先頭・オースティンをカウント2-2から145キロ直球で遊ゴロに料理。4番・佐野は初球のスライダーで二ゴロに仕留め、危なげなく2死を奪った。

 5番・宮崎への初球と3球目には自己最速の147キロをマーク。最後はカーブで遊ゴロに打ち取り「真っすぐ、変化球を低めに集められて良かった」と納得顔だ。速球と変化球のコンビネーションで、DeNAが誇る強力クリーンアップに仕事をさせなかった。1回無失点で首脳陣にアピールすると同時に、東北へ勇姿を届けた。

 そのDeNAのエース・今永とはオフに自主トレを行った間柄で、試合前にあいさつ。自主トレでは「プラスのことしかなかった」という。オープン戦は4イニング連続無失点で「トレーニングも継続してやっているし、投球のイメージも昨年より明らかに良くなっている」と手応えをにじませた。

 昨季は1軍登板がなく、苦汁を味わった。だが今季は違う。「開幕1軍は目標にある。そこに入れるように頑張りたい」と闘志を燃やした。左肩に思いを宿して投げ込んだ3・11の10球は、自身の未来と故郷を明るく照らす希望になった。

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