ドラ1小園 プロ初のマルチ安打 2失策も「攻めて全力でプレーするだけ」
「交流戦、広島2-3オリックス」(22日、マツダスタジアム)
広島のドラフト1位・小園海斗内野手(19)=報徳学園=が、3試合連続「1番・遊撃」で出場し、プロ初の複数安打をマークした。三回に中前打を放つと、六回はプロ初の長打となる右翼線二塁打でチャンスをつくった。ただ守備では2失策。六回は痛恨のトンネルを犯し、失点につながった。3試合連続の失策となったが、下を向く必要はない。成長への糧とすればいい。
力強く、低いライナーではじき返した打球だった。0-3の六回1死。小園はドラフト3位・荒西のカットボールを引っ張り、右翼線へ運ぶ。すぐさまトップギアに入れて加速すると、一気に二塁へ到達した。
「エラーをしてしまった。取り返そうという気持ちだった」
続く菊池涼の左越え二塁打で生還した小園。プロ初となる長打で、追い上げムードに火を付けた。
初回は3球で見逃し三振に倒れた。だが、三回2死では直球を中前へ運ぶ。迎打撃コーチは「積極的にバットを振るのはすごく大事なこと。レギュラーでも振れなくなるのが一番、困る。初めての投手は、振っていくことで分かっていく。振れることも能力の一つ」とうなずいた。
3試合連続「1番・遊撃」としてスタメン出場。打席を重ねる度に脳裏に球筋を焼き付ける。それをイメージしながら自分のスイングをすることだけに集中することが、初の複数安打につながった。
打撃と対照的に明暗が分かれたのは、またしても守備だ。2失策して3試合連続でスコアボードに「E」のランプがともった。猛省したのは0-0の六回無死一塁。吉田正が放った正面の打球をまさかのトンネル。併殺で2アウトが一転、無死二、三塁にしてしまった。「形がしっかりできていない。守備練習から腰を低く落として、しっかりとやりたい」。結果的にこのプレーが3失点を生んだ。
持ち味の積極性が影を潜めている。その要因として1軍の重圧があるのか?の問いには「その通り」と唇を結んだ。3試合で計4失策。前日とこの日は、黒星につながってしまった。山田内野守備走塁コーチは「結果的に試合を左右している。出ている以上、責任はある」としながら「1年目でそれを背負わせる訳じゃない。悔しさを胸に刻んで、下がることなく階段を一歩一歩上がってほしい」と背中を押した。
大観衆が視線を送り、2軍とは違う緊張感の中に身を置く。成功も失敗も、1軍で得られるすべての経験値は、計り知れないほど大きい。「攻めて全力でプレーするだけ」。恐れることなく前へ前へ。小園は歩みを止めない。