3連覇の分岐点は7月の巨人と天王山 死闘制して3連勝 ベテラン永川3連投

 「広島10-0ヤクルト」(26日、マツダスタジアム)

 広島が球団史上初となる3年連続9度目のリーグ優勝。待ちに待った27年ぶりの地元での胴上げが、ついに実現した。今季の分岐点となったのは、3連勝を飾った7月20~22日に行われた2位・巨人との3連戦だろう。5ゲーム差で第1戦を迎え、3連勝。西日本豪雨後初の本拠地での試合という特別な試合でもあった。セ・リーグでは巨人以来、2球団目のリーグ3連覇を飾る主要因となった3連戦を振り返る。

  ◇   ◇

 真っ赤に染まったスタジアムが連日、大きな歓声に包まれた。連日、最高気温が30度を超え、本格的な夏の暑さが訪れていた7月下旬。それを上回るかのような熱さで、今季のターニングポイントと言っても過言ではない3つの戦を制した。

 7月20日から始まった巨人との3連戦。首位・広島は、5ゲーム差で迫る2位・巨人を本拠地に迎えた。相手は7連勝でマツダスタジアムに乗り込み、勢いは最高潮。もし、この直接対決で3連敗すれば一気に2ゲーム差となり、セーフティーリードがなくなる状況だった。

 1戦目を迎えるまで、本拠地での巨人戦は昨年から9連勝中と分は良かったが、相手も先発の柱である山口俊、菅野を立ててきた。今後のペナントレースを左右しかねない、激戦のムードは漂っていた。

 広島としては勝ちたい、勝たなければならない理由がもう一つあった。7月初旬に西日本豪雨が発生。道路が寸断され、家なども流される現実が広島を襲った。それにより前半戦最終カードの7月9日~11日の阪神戦は中止。実に16日ぶりの本拠地での試合だった。

 球場には半旗が掲げられ、両軍監督、選手による「たる募金」の呼びかけも実施。試合前に黙とうもささげられ、鳴り物応援も自粛となった。「プレーで明るいニュースを届けられるように」と選手会長の会沢。後に1戦目のヒーローとなる下水流も「勇気と元気をという声は、選手同士でも確かにあった」と試合前の状況を明かした。

 1戦目から死闘が待っていた。二回までに7点のリードを奪ったが逆転を許し、延長十回を1点ビハインドで迎えた。それでも下水流が2死一塁から、右翼へ逆転サヨナラ2ランを放り込んだ。「迎(打撃)コーチと話して、外の球に絞っていった」。両軍の運命がひっくり返った結末。最後は腹をくくった“一点張り”が奏功した。

 迎打撃コーチは「劇的な勝ち方がターニングポイントみたいになることがある。一昨年もあった。(2位との戦いを)意識をしてるわけではないけど、準備の積み重ねの結果」と言う。4連敗で迎えた2年前の8月7日も、4・5差で迫る巨人に逆転サヨナラ勝利を飾り、優勝へ再加速していた。

 1戦目の勝利から、2戦目、3戦目も広島らしさが凝縮された試合だった。3戦全て逆転勝利。会沢は「点差が離れていようが、1点、1点を」と常々話す。時につなぎ、時に一発で-。目の前の1点の積み重ねが、白星を呼び込んでいった。

 “恐怖の下位打線”も力を発揮していた。当時は野間、西川、会沢らが主に6、7、8番を形成。3人とも3割前後の打率を残すなど、よどみのない打線を作り上げていた。特筆すべきは2戦目。難攻不落の菅野から西川が同点打、会沢が決勝打を記録した。

 「去年からだけど、菅野に関しては27球で終わってもいいから、とにかく甘い球を振っていく。球数を投げさせても、勝負球も多い投手。結果に目を向けるより、できることに目を向ける」と迎打撃コーチ。しっかり攻略し切った。

 ベテランの奮闘も白星に結びついた。プロ16年目の永川は3連戦3連投で、全て無失点。「今までの1勝より特殊な1勝」と1、2戦目を特別な勝利と捉え、迎えた3戦目には2年ぶりの白星を挙げた。昨秋に左膝の手術をし、今年は16年以来2年ぶりの1軍となった37歳。はいつくばって再び光を放った男の力も、優勝への一助となった。

 チームが、広島が一丸となって手繰り寄せた大きな3連勝。決勝2ランを放ち、3戦目のお立ち台に上がった丸はかみしめるように言葉を紡いだ。「広島で皆さんの前で野球ができる幸せを改めて感じることができた3連戦でした」。独走への確かな筋道を立てた3日間だった。

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