岩本 逆転3ラン! 鯉8連勝で「M6」 2年連続80勝到達じゃ

 「中日5-9広島」(9日、ナゴヤドーム)

 広島が11安打9得点で、今季38度目の逆転勝利を収めた。昨季に続き球団史上2度目となる年間80勝に到達。1点を追う七回1死一、二塁から岩本貴裕外野手(31)が3年ぶりとなる1号逆転3ランを放った。チームは9月負けなしの8連勝で、貯金は今季最多の「34」となった。優勝へのマジックは「6」。リーグ連覇へ勢いは加速するばかりだ。

 手に残る、心地良い感触で確信した。打球はバックスクリーン最前列ではずんだ。だが、二塁を回った岩本は足を止める。「中継プレーがつながっていたし、止まっておこうかと思って」。河田三塁コーチャーの合図で、苦笑いしながらゆっくりと走りだす。ドタバタ劇での一発が、38度目の逆転勝利を呼びこんだ。

 1点を返して、4-5となった七回1死一、二塁での第4打席。谷元が投じた5球目。外角低めの直球を鋭く振り抜く。中堅から逆方向へ、力強い打球を放つことができるのが魅力だが14年6月27日・DeNA戦(横浜)以来、実に1170日ぶりに描いた放物線だ。

 右腕・三ツ間対策として野手は左打者7人がスタメン起用された。代打での出場機会が多いだけに「6番・一塁」に燃えるものがあった。一方で、胸には常に強い危機感がある。安打が出なければ「すぐに2軍に落とされる」。求められるのは、ただ一つだった。

 10年に14本塁打をマークした。長打力が最大の武器でも、今は「ホームランを狙っていない」と言う。バットを指1本分だけ短く持ち、走者がいなければ出塁を心掛け、得点機で出番が来れば走者をかえすことだけに意識を集中させる。

 緒方監督の言葉で変わった。「打席では何を狙っているのか」。つなぎの野球がチームの基本方針。コンパクトなスイングをさらに徹底することで、芯で捉える確率が上がった。持ち前のパワーがそれに加わり、この日の本塁打が生まれた。

 昨季のリーグ優勝は、自宅のテレビで見るしかなかった。「奥さんに『来年は絶対にあの場にいられるように頑張ろう』と言ってもらった。助けられました」。広島で生まれ、広島で育った。幼少期からカープは特別な存在だ。だからこそ優勝の輪に加わりたい-。気持ちを新たにした瞬間だった。

 「すごいホームランだった」と指揮官は大絶賛。3失策などで失点したものの、総合力でもぎ取った白星だ。9月は負けなしで一歩一歩、頂へと進む。「1球、1打席、悔いの残らないようにしたい」。前を見据えたガンちゃんは、力を込めた。

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