高松商52年ぶり8強「バッテリーの勝利」 離脱2選手のために目標修正「帰ってくるまで戦う」

九州国際大付を破り、喜び合う高松商・渡辺和(左)と大坪のバッテリー
ベスト8進出を決め、笑顔で駆け出す高松商ナイン(撮影・伊藤笙子)
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 「全国高校野球選手権・3回戦、高松商2-1九州国際大付」(15日、甲子園球場)

 高松商が九州国際大付を接戦の末に撃破。1970年の第52回大会以来、52年ぶりのベスト8に進出した。エース左腕・渡辺和大投手(3年)が強力打線を封じ込み、9回7安打1失点の好投。12日にチームを離れた3年生のレギュラー2選手が帰ってこられるまで、勝ち続けることを誓った。

 最後の打者を鋭い変化球で空振り三振に仕留め、振り逃げを狙った打者を刺すと、渡辺和は左拳を力強く握り、女房役の大坪太陽捕手(3年)と勢いよくグラブを合わせた。

 3番・黒田、4番・野田、5番・佐倉の3人合わせて高校通算79本塁打を誇る強力打線を相手に、強気に、強気に内角を攻めた。当初は外角中心の攻めだったが、センターから逆方向へ狙われていることを感じたバッテリーは試合中に方針転換。特に黒田、佐倉ら左打者に対しては「引っ張っても長打はない」と、甲子園特有の浜風を利用し、積極的に内角を攻め、六回以降は一人のランナーも出さなかった。

 強気の攻めが身上の渡辺和。昨夏の甲子園でも、優勝した智弁和歌山の4番・徳丸天晴外野手(当時3年)にも臆せず、内角攻めで打ち取っている。新チーム発足から「ずっと憧れていた」という背番号「1」を背負い続けてきた。長尾健司監督(52)も試合後の第一声で「流れの悪い攻撃で苦しかったが、流れを持っていかせなかったバッテリーの勝利」と称賛した。

 仲間のためにも負けられなかった。初戦を大差で勝利し、順調なスタートを切ったチームだが、12日に本田倫太郎内野手(3年)と林息吹外野手(3年)のレギュラー2選手がチームを離脱。長尾監督は「掛ける言葉がなかなか見つからなかった」と振り返る。

 ナインは泣きながら宿舎を離れる2人の姿を目に焼き付けた。四回に決勝の適時打を放った井桜悠人外野手(3年)は「出られなかった2人の分まで絶対に打ってやろうと思っていた」と鼻息を荒くする。一方で、主力2選手を欠き、5度の犠打失敗など攻撃面の課題も出た。52年ぶりの8強にも長尾監督は厳しい表情を見せた。

 準決勝以降ならば2人が再合流できる可能性も出てくるといい、チームは「甲子園8強」から「離脱した2人が帰ってくるまで戦う」に、目標を上方修正。「2人が帰ってくるまで僕が試合を作っていかないといけない」と渡辺和。高松商らしい「全員野球」で勝利を見据える。

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