3冠目指す村上に大きく水をあけられた巨人・岡本~両主砲の違いを高代氏が分析

 球宴ファン投票のセ・リーグ部門は、ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が最多得票で3年連続の選出となった。昨年まで2年連続打撃2冠(本塁打、打点)の巨人・岡本和真内野手(26)は、同じ三塁手でもある“ライバル”に大きく水をあけられる結果に。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏がその原因を探った。

  ◇  ◇

 端的に言って両者の最大の違いは打率にある。それははっきりと数字が物語っている。

 昨年まで2年続けて本塁打と打点の2冠を獲得しながら、3冠王がさほど話題にならなかった岡本和の“ウイークポイント”はそこにある。

 現状では村上も調子がいいとは言えない。広島戦の3つ目に4三振を喫してからは、少しばかり打撃を崩しているように思う。ただ彼の場合は本塁打が打てなくても、悪いなりにヒットを打てる。

 一方の岡本は本塁打だけではなく、ヒット自体も出なくなることが多い。5月には9試合連続で一発がなかったが、その期間はかなり打率を下げていた。この差は大きいね。

 6日にファン投票の結果が発表されたが、この機会に2人の打撃の特長を私なりにまとめてみた。

 村上の打撃フォームは、投手から背番号が見えるほど右肩が入っている。にもかかわらず、右肩と右腰が開かずにコンパクトなスイングができる。よほど下半身が強いのではないだろうか。

 なおかつ踏み込んでいく。これは村上特有と言ってもいいかもしれない。だから当たった時の打球がすごい。

 通常、肩が捕手寄りに入る傾向があると、打ちにいく際に早く開きたがるものだが、村上にはそれがない。打率が下がらないのは、そういうところに理由があるのだろう。

 岡本は6日のヤクルト戦で小川の甘いチェンジアップを左中間席へ運んだ。9試合ぶりに放った本塁打だが、これは明らかに狙い打ったものだ。遅いボールの狙い打ち。だから体が開かず、理にかなった形で打てている。

 彼が調子を崩している時は、ホームベースから遠くに立っているように見える。実際には変わらないのに、周りの目にはそう映る。

 それはスイング時に(右打者なので)左肩と左腰が開いてしまうため、ベースから離れているように見える。錯覚ですね。

 これを我慢して、右方向へ軽打できるようになれば、打率は下がらない。岡本が好調な時はその軽打ができているが、悪くなると引っ張りにかかる。

 体が開く。いわゆる“壁”が崩れると後ろが大きくなり、バットが最短で出てこず、さらに変化球に崩されて外の球についていけなくなる。打球も上がらない。

 そうなると結果が欲しくて、ますます深みにはまる。打撃は思い通りにならないし、難しい。

 6月に驚異的な数字を残した村上だが、たった1度の打席でおかしくなるのが打撃。小さな感覚のズレが深刻な状況を生む危険は常に潜んでいるものだ。

 とはいえ、村上が3冠王を獲れる可能性は十分にあると見る。現在、本塁打と打点で2位の岡本以下を大きく離し、打率も3割をキープ。出塁率の高さが示すように、四球の数が多いのも有利に働くはずだ。これは打率に跳ね返るからね。

 岡本には、その競争相手としてグイグイ追い上げて、タイトル争いを面白くしてもらいたい。2年連続2冠の意地にかけてもね。

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