鳥谷敬氏が残した評価されるべき金字塔とは?昨年まで現役最多の1055四球

 昨季限りで現役を引退した鳥谷敬氏。阪神時代には生え抜きとして、藤田平氏以来史上2人目となる通算2000安打を達成し、遊撃手としてチームの中心的存在だった。ロッテ移籍後は若手の手本となり、試合に臨むための準備の仕方などに称賛が集まった。

 そんな鳥谷氏が残した記録の中で、特筆すべきだと言えるのがプロ野球歴代14位の1055四球。上位には王貞治、落合博満、清原和博など歴代の長距離砲たちが並ぶ中、通算本塁打数が200本以下でトップ20に名を連ねているのは、鳥谷氏と西武・栗山しかいない。長距離砲や次打者に投手が控えるケースなどでは敬遠四球も多いが、鳥谷氏の場合はほとんどが自らの選球眼で選んだフォアボールだったように思う。

 他球団の投手からも「なぜあんな見逃し方ができるのか」「本当にゾーンに来るボールだけを待っている感じがする」などと驚く声が上がっていた。阪神担当だった時、バックネット裏から鳥谷氏の打撃練習を見ていると、ほとんどボールゾーンに手を出さない。なぜそこまで見極められるのか-。長く鳥谷氏の打撃投手を務めてきた山崎一玄氏は当時、「他の選手と比べて、両目でしっかり見ているような感じはします。オープンスタンスにして、首の位置も動かない。練習でも、際どいコースでボールだと思ったらバットを振らない。そういうトレーニングをしてるなと感じることはあります」と証言していた。

 鳥谷は本来が左利きのため、利き目も左だったと考えられる。右利きなら右目、左利きなら左目でボールに照準を合わせるのが、当時の定説だった。ただ鳥谷は両方の目で捉えることによって左右上下に動くボールを瞬時に判断し、数多くの四球を選んでチャンスを演出してきたと考えられる。

 阪神担当時代、本人にも疑問をぶつけてみたところ「利き目で見てるのか、両目で見てるのか、はっきり意識したことないから分からない」と明かしていた。その上で秘けつを聞くと「自分のゾーンを作ってとかではなく、ボールだと思ったら振らないこと!」とごくごくシンプルな答えが返ってきた。

 空振りさせてやろうと考えて投げてくる投手。ストライク、ボールに関しては時に、球審の判定に泣かされることだってある。それでも選球眼にブレを生じさせることなく、1055個の四球を選んできた鳥谷氏。通算2099安打、そして安定した守備力だけでなく、ボールを見極める能力もレジェンドの域だったように思う。(デイリースポーツ・重松健三)

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